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更生プログラムその4、パンツ見るのが好きな男の子の日常

僕が更生プログラム受け始めてから3週間・・・。

最近、学校中で妙なうわさが広がっている。クラスの奴らから聞いたんだが・・・


『陽介、お前が最近年下の女の子にイジメられてるって聞いたんだが本当なのか?』

『この前の放課後、校庭でしごかれてたって聞いたけど・・・?』

『保健室で恐ろしい特別な指導を受けてるって聞いたんだが、何してるの?』


クラスの先生から妙な事も言われた・・・


『放課後、保健室に通ってるらしいね。何があったの?辛いことや悲しいことがあったら先生に相談してね。あなたの担当は私なんだから』


僕は、いつの間にか「クラスの中でも一番ひどい目にあっている悲しい奴」というレッテルを貼られているようだ。こうなった原因は、保健の田中先生と美里さんが原因だ。最近、更生プログラムという名の下でこの女性二人から弄ばれているような気がする。僕の穏やかで平和な学校生活は、絶賛崩壊中です!・・・しかし、こうして毎日放課後は保健室の前にいる。はぁー、何回更生プログラムをサボろうとしたのか。でも、これが悲しい習性というものだろうか。ため息を付きながらドアをノックして保健室に入ることにした。


ガラガラ


『お!陽介!来たか!』


いつも以上に明るく元気な田中先生。美里さんは・・・ニッコニコ!おおぅ、笑顔満点じゃないですか。


『こんにちは。えっと、美里さんの笑顔の理由は?』


そう尋ねると、美里さんはテストの答案用紙らしきものを持って僕のところに近づき


『見て!すごいでしょ!』


得意気に赤ペンで86点と大きく書かれた算数のテストを見せてきた。確かに、凄い。前は20点台だったのが80点台まで大幅アップした。


『頑張ったね。美里さんもやればすごいじゃん』


褒めてあげると、得意気からちょっと恥ずかしそうな顔になり


『た、高橋君のおかげ。あ、ありがとうね!』


確かに、最近の更生プログラムは、美里さん宿題を手伝うことが多かったな。


『さて、今日はお祝いだ!食って、飲んでけ!私のおごりだ!』


そう田中先生が言うと、大きめのテーブルの上には多数のお菓子とジュースが置かれていた。わー、更生プログラムを受けていて良かったかもしれない。こんなご褒美が待っていたとは。


『他の先生や校長先生には内緒だぞ!かんぱーい☆』

『かんぱい!』


田中先生はビールを飲むかのようにジュースを一気に飲み干す。美里さんは嬉しそうにまだテストの点数をまだ見ていた。


『ところで、陽介。なんで美里のことを「さん付け」で呼んでいるんだ?』


唐突な質問だな・・・。これといった理由はないんだが・・・。


『あー、そう言われると確かにそうですね・・・』


美里さんはキョトンとした顔で振り向き


『私のことが怖いからじゃないですか?』


きっぱり、言われた。うん。確かに怖い。けど、本人の口からそう言われると何だか僕が惨めのような気がするぞ。5年生が3年生の女の子を怖がってることになる・・・。


『陽介は、女の子に尻に敷かれるタイプなんだな』


田中先生・・・勝手に決めつけないでください。


『うわ・・・』


美里さん・・・ジト目で哀れるような顔で見ないでください!


『でも、まぁ!美里と陽介はいい夫婦になると思うぞ!』


?!いきなりなんて事を言い出すんだこの先生は!美里さんは顔を真っ赤にして反論した


『ありえません!絶対!!こんな女の子のパンツばかりに興味がある男の子と・・・将来・・・ふ、ふふふ夫婦になるなんてありえません!』

『でも、世の中絶対なんてありえないぞ!美里!』

『いいえ!100%ありえません!断じてないです!』

『陽介が美里の宿題見てあげてる二人の姿を見ている、まるで仲良し夫婦だぞ〜』

『な!・・・ど、どどこをどう見たらそうなるんですか?!ないない!絶対ないです!』

『フフ・・・そうやって全力否定するところが可愛いな美里は』

『うぐ!先生の意地悪!!』


美里さんはプンスカピーで、先生はニヤニヤが加速していて、僕はポツンと蚊帳の外だった。それに気づいた先生は


『ところで、陽介!お前、女の子のパンツは何色が好きなんだ?』


先生、その質問誰が聞いてもオフサイドです。ビンビンにオフサイドフラッグが上がってます。


『先生のそういうデリカシーのないところは、よくないと思います!』


美里さんが怒り口調で言うと


『ああ!デリカシーのないのが私だ!』


得意気に田中先生は答えた。うわぁ、最悪な先生だ・・・僕より先生の更生のほうが必要な気がしてきた・・・。


『ふん!そんなデリカシーのない先生は、彼氏が出来ないんじゃないんですか?』


おぅ!尖った質問だな。美里さんもなかなか凄いな・・・。


『うん。この前フラれた!』


え?


『私の第一印象は明るく元気な女性なんだが、美里が言うとおり第二印象はデリカシーがない女性なんだ。だから彼氏ができてもよくフラれるんだなこれが。はっはっは。』


先生の飲んでるジュースってアルコールが入っているのか??ここは保健室ではなく居酒屋なのか?!


『でもな、美里。こんな私だが変えるつもりはない』


自信満々に言われてもな・・・


『一生独身になっても知らない!』


プイっと美里さん、先生は自信満々を極め、僕は相変わらず蚊帳の外だった。それに気づいた先生は・・・


『ところで、陽介!お前、今日のトランクスの柄はなんだ?』


先生、その質問誰が聞いてもフォアボールです。満塁のピンチですぞ・・・


『先生!いい加減にしてください!』


美里さんはカンカンに怒り


『冗談だ!冗談。はっはっは。』


こんな調子で、美里さんと先生のやり取りが続いたが、夕暮れになり、今日の活動はお開きになった。何も更生プログラムしていないような気がしたが・・・外を見ると春は進行し新緑の季節が訪れようとしている。最近の僕と美里さんは、途中まで一緒に下校することになっている。田中先生曰く、それも更生プログラムの一環らしい。


『まったく、今日の先生ったら・・・酷かったよね?』


帰り道、プイプイの美里さん


『でも、それが先生の良いところかもね。それに、ほら、他の人には内緒だけどジュースやお菓子奢ってくれたし』


先生を擁護するつもりは無いが・・・とりあえずそう答えた。時折南風が吹いてくる。心地よい風だ。美里さんと僕はその風を受けながら帰り道を楽しんだ。すると、美里さんは立ち止まり


『ねぇ、今度から「さん付け」じゃなくて「美里ちゃん」でいいよ。なんだか「さん付け」されると堅苦しいし』

『じゃぁ、僕のことも「高橋君」じゃなくて「陽介君」でいいよ』


美里さんはニコっとして


『わかった。そうするね!陽介君!』


その時の美里ちゃんの顔は、今まで見せたことのない嬉しそうで満足した顔をしていた。僕はちょっぴり胸がドキドキした。

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