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更生プログラムその2、パンツ見るより運動しよう!

『やぁ!おはよう!陽介君!元気かな!?』


快晴だけど涼しく爽やかな朝だったのに、一気に真夏になり猛暑日になったかのような気持ちだよ。汗がだらだら出てきそうだ。田中先生は、校門の前で仁王立ちしていた。近づくと熱気でやらせそうな感じだよ。そんな先生に僕から伝えとくか。


『お、おはようございます。今日の放課後は直接保健室に向かいますので。逃げたりしないので今後も更生よろしくお願いします』


なんと素晴らしい教科書通りの伝え方だろう。自分でも惚れ惚れするね。しかし、それとは裏腹に先生はキョトンとしている。


『なんの事だ?今日は保健室で何もしないぞ?』


え?今日は更生プログラム休みなのか?それはそれで嬉しいぞ。


『今日の更生プログラムは、外で行う!放課後は体育着に着替えて、校庭に集合だ!!詳しい内容はその時までの秘密さ!』


この先生、か弱い僕に無理やり運動させる気だな・・・。詳しい内容を秘密にされてもだいたい何をするのか察しが付くが・・・


『僕はてっきり昨日と同じく、今日も美里さんの宿題を見てあげることが更生プログラムだと思ってたのですが違うのですか?』

『毎日それだとつまらないだろ!見てるこっちだってつまらないぞ!』


僕の更生プログラムは面白半分で行われてるのか?!鬼だ!この人は鬼だよ!



そして、放課後ー。律儀に体育着に着替えて校庭に集合した。なんと僕の更生担当の美里さんも体育着になっていた。すると美里さんから切り出した


『先生、今から何をするんですか?』


どうやら、今日は美里さんと一緒に何やら運動するらしいが、具体的に何をするんだろうか?


『うむ。本日の更生プログラムを発表しよう!パンツ見るより運動しよう!。女の子のパンツに集中するのではなく、自分の体を鍛える事に集中するのだ!そうすれば自然とパンツより体を鍛える素晴らしさに気づくだろう!』


先生。気になってるんだが、毎回そんなにパンツを連呼しなくてもいいと思いますが・・・。


『昨日は、陽介が美里の宿題を見てあげたが、今日は、美里が陽介に運動の基本を見せてあげる番だ!』

『は、はい!頑張ります!』


この5年生の僕が、2つ下の女の子から運動の基本を習うだと?なんの罰ゲームだよ・・・。


『まずは短距離!50m走だ!位置につけ!』


とりあえず、僕と美里さんはスタートライン付きいつでも走りだす用意をした。


『よーぃ!ドーン!!』


バビューーーーーン!!!


うお!速い!速すぎ美里さん、将来オリンピック日本代表選手になれるぜ!!一方、僕と言えばドタバタ走って何とかゴール・・・


ゼェハァ・・・ゼェハァ・・・


『どうだ?美里。陽介の走りを見て』

『遅すぎます。走っているよりもがいてる感じがしました』


先生に質問に、美里さんからジト目で酷評されました。


『よし!次は校庭内10週だ!長距離走るぞ!位置に付けよーぃ・・・』


え、休憩なしですか?!


こうして、校庭を10週走っているわけだが・・・あ!美里さんに抜かされた・・・なんてことだ!もう1週遅れかよ・・・。


『こら!陽介!!3年生の女の子に周回遅れしてるぞー!頑張れ!』


言われなくても分かってる・・・しかし、なんなんだ、美里さんの運動神経の良さというか、い、いや自分の運動音痴ぶりにびっくりだ・・・ゼェハァ・・・ゼェハァ・・・


こうして数十分が過ぎ・・・かなりの周回遅れでゴールした。せっかく校庭10週走ったのに、歓声はなくお疲れの一言もなく、呆れた先生はジト目の美里さんに感想を聞いた。


『どうだ?美里。陽介の走りを見て』

『遅すぎます。走っているよりもがいてる感じがしました』


お前ら重要なことだから2回も同じ事を言うのか?!ん!!・・・ゼェハァ・・・ゼェハァ・・・


『これが、女の子のパンツに興味があるえっちな男の子の実力というものか』

『ですね・・・』


グッ・・・言いたい放題だなこの先生と美里さんは・・・。なんとか挽回せねば・・・。ところが・・・


『さて、次はソフトボール投げだ!どんどん遠投するぞー!』

美里さんはメジャーリーガー級の強肩外野手並の遠投を披露し、一方僕はソフトボールで砲丸投げをしたのかよと思わせる滑ったコントを披露した。


『次は、鉄棒だ!どんどんできる技をやれー』

美里さんは体育大学の鉄棒選手級並の軽やかなですべての見本のような技を次々に披露し、一方僕は逆上がりすらできない駄目人間ぶりを披露した。


『次は、走り幅跳びだー!どんどん飛べー』

美里さんはこのまま大空の彼方まで飛んで行くかのような素晴らしいジャンプを披露し、一方僕はこのまま地獄に落ちていくような笑えないズッコケを披露した。


『んー、次は竹馬と一輪車だ!どんどん乗れー』

美里さんは古きよき運動神経バツグンの昭和の少年のように竹馬を乗りこなし一輪車で平衡感覚の良さを披露し、一方僕は竹馬に初めて挑戦してズッコケて擦り傷を負い一輪車に初めて挑戦し盛大に転倒して年中乗り物酔いしてそうな頼りない人間ぶりを披露した。


辺りが暗くなり始めたことに気づいた先生は、ようやく本日終了を宣言してくれた・・・


『流石に暗くなってきたな。今日はこれぐらいにしよう!よし!本日の更生プログラム終了だ!帰っていいぞー・・・あ、その前に美里!一言お願い』

『そうですね。今日の更生プログラムを通じて、改めて更生の必要性が理解できました。とても貴重な時間だったと思います』

『そうか!では、解散しよう!』


終始ジト目で運動神経の良さが光った無傷の美里さんは、体も心もボロボロに傷だらけな僕に追い打ちをかけるかのような一言を放って、本日の更生プログラムは終了した。


『どうだ?!運動の素晴らしさを理解できただろう?!』


帰り際、田中先生にそう質問されたが、疲れきってなんて答えた覚えてない。もちろん、帰宅すると同時に夕飯も食べずに布団でぐったり寝てしまった。夕飯も食べずシャワーも浴びず寝てしまったことがバレて夜中に叩き起こされて親から怒られ、だるい体に鞭を打ってシャワーを浴び、次の日の朝、寝坊したうえ学校に遅刻してクラスの先生に怒られたうえクラスのみんな笑われ、疲れが取れないし筋肉痛が酷くて歩くこともままならない僕は・・・どこにこの情けない気持ちをぶつければいいのだろうか・・・。そう考えているとまた本日の更生プログラム開始時間が近づいてきた・・・。



だ、誰か助けてくれ〜〜・・・


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