更生プログラムその1、パンツ見るなら宿題を見てやろう。
えっと、みんな帰ったかな??うーん、これほど憂鬱な放課後はないな・・・体が重いよ・・・。昨日の更生プログラムなんて意味の分からないものにあれこれ記入するんじゃなかった・・・。いつもなら、放課後といえば、ぽかぽか陽気の公園で可愛い女の子達の無邪気な姿とそこで生み出されるチラリチラリ的なものを見る楽しみでルンルン気分だったのにぃ!すべての原因は、保健の田中とお転婆な美里とかいう年下の女の子のせいだ!!こっそり、帰っちゃえばバレないだろう。後は下駄箱から靴を取り出して・・・
キョロキョロ・・・
『よう!陽介!何してんだ?!』
ビク!
クラスの奴か・・・
『べ、別に何も・・・』
『?・・・ふーん、じゃぁな!』
『お、おう』
ふぅ・・・焦った・・・って思ったその時!!
『ちょっと!いつまで待たせるの?!』
『わおぅ?!美里さん!』
『何、そんなに驚いてるの?』
『いや、3年生ってもうとっくに授業終わってるし、帰ったのかと。』
『んなわけないでしょ!今日から保健室であなたの更生プログラムが始まるのに帰るわけ・・・ふ~ん、ひょっとして、黙って帰ろうとしていたのかなぁ〜?先生の言うとおり5年生の下駄箱の前で待ってて良かった!』
美里さん笑顔のまま怒るの怖いです。すごく怖いです。そして、田中先生、その鋭いカリスマ的感の良さを日本経済の活性化や日本の政治に役立ててください。こんなか弱い僕に全力を尽くす必要ないでしょうに・・・ん?待てよ。
『ということは、美里さんは授業が終わってからずっと僕を待ってたの』
『そうだけど・・・一旦荷物置きに保健室寄ってから来たけど・・・』
『そこまでする必要あるのかなぁ・・・なんでそこまで僕のために?』
『な!・・・あなたのためではないの!!あなたの更生のためなの!!!更生のため!・・・ほら保健室に行くよ!』
あー、ちょっとまた強引な・・・腕を掴んで引っ張らないで・・・でも、その時頬を赤くした美里さん可愛いと思ったけどね・・・。
さて、保健室に着いた僕と美里さん。待っていたのは田中先生だが・・・
『ん?どうした?初々しい3年生女の子とえっちな5年生男の子が一緒に保健室だなんて・・・これから駆け落ちの相談でも行いに来たのかな?はは。』
この人は、放課後とは言え、既にアルコール的な何かが入っているのだろうか??あなた学校の先生ですよね・・・
『冗談だ!冗談!!さて、本日の更生プログラムを発表しよう』
すごく楽しそうだな・・・こっちはちっとも楽しくないが・・・
『じゃーん!パンツ見る暇があったら、宿題を見てあげよう』
すっごく嬉しそうな田中先生。そして・・・あれ?美里さんの様子がおかしい・・・。いや、その前にその発表内容に異議申立て的な事をしようか
『あの先生、その・・・これが本日の更生プログラムなんですか?」
『そうだが、何か問題でも?』
『詳しく説明していただけますか』
『うむ。詳しく説明しよう。まず、陽介には、女の子のパンツに集中する癖がある。そこでだ!更生の担当者である林美里の宿題を見てあげることに集中する。どうだ素晴らしい更生プログラムだろ。パンツへの集中を美里の宿題に集中させる。我ながら上出来な考えだ!』
はい!そうです!って答えられるか!!!説明の前半も後半もロスタイムも納得いかない・・・。サッカーで例えるなら、勝てる試合なのにまったく結果を出せないで結局ドローで終わったような気分だよ!ドロドロだよ・・・。
『あの・・・帰っていいですか?』
思わず怒り気味に本音が出たよ・・・。もうこれ以上付き合ってられん!我慢の限界だ!!
『そうか、それは残念だ・・・美里を見捨てるのか・・・?』
田中先生・・・急に尖った深刻な質問をしないでください。見捨てるも何も、これでは単純に3年生の宿題を見てあげることであって、僕の更生に繋がるとは思えないのだが・・・。
『美里、前回のテストを見せてあげなさい』
『・・・』
確かに今さっきから様子がおかしかったが、美里さんは黙ったまま恥ずかしながら渋々算数と国語のテストを見せてきた。おぅ、これはこれは・・・。算数は・・・28点。国語は・・・20点。なるほど!レッドカード一発退場並だね!笑えないね!
『美里は、体育は得意なんだが・・・それ以外は全て駄目でな・・・そこで、体育以外が少しだけ得意な陽介に宿題を手伝ってもらおうと思ったのだが・・・体育以外が少しだけ得意な陽介には荷が重かったか・・・残念だ』
ところで、その「体育以外が少しだけ得意」という言い方を2回されるとイライラするが・・・。んーむ、何だか微妙な雰囲気になってしまった保健室・・・仕方ないか・・・
『はいはい。分かりました。美里さんの宿題のお手伝いします』
『流石だな!体育以外が少しだけ得意な陽介!少しだけ見なおしたぞ!はは』
はい!3回言われました!
さて、さっそく美里さんの宿題を見てあげることにした。
気が付くと、保健室の窓が少しだけ開いていた。外から子供の楽しそうな声と爽やかな風が時折入って、カーテンがヒラヒラと踊っていた。昨日より暖かいのだろうか、夕暮れ時なのに冷たさを感じなかった。確実に昨日より日が伸びてるのだろうか?でも、カラスの鳴き声が夕方を感じさせてくれる。
『高橋君は、宿題は大丈夫なの?」
意外な質問が来たな。美里さんが僕の宿題について心配してくれるとは。
『うん。大丈夫だよ。いつもお昼休みに図書室で宿題終わらせてるから』
『え?!そうなの?!宿題って家でやるものじゃないの?』
『いや、まぁ、それでもいいけど早めに終わらせたいでしょ・・・』
『そうなんだ。だから図書室にいたんだ』
『うん。僕にとって、図書室は宿題を終わらせる場所かな』
『ふーん』
?・・・前に図書室で会ったことあったっけ・・・?
『僕って、美里さんと図書室で会ったこと・・・ないよね?』
『え?・・・ないよ!ぜんぜん!だって私はいつも外で遊んでるもん。寒い日ならともかく。そ、それより、この問題教えて!』
ですよねー。もうお転婆代表みたいな女の子だもんなぁ・・・。外で遊んで同級生の男の子いじめてそう。でも、近くにいた田中先生が「クスッ」と笑ったのが気になったけど。窓を見ると、あー・・・、帰宅はまた夕暮れ過ぎだな・・・。
『先生、今日の分の宿題終わりました〜』
嬉しそうに美里さんが宣言した。
『おう!そうかー。ご苦労だった・・・今日の更生プログラムは終了だな』
『はい。また明日よろしくお願いします!』
・・・
『お・・・お願いします・・・』
思わず、美里さんのお願いしますに釣られて言ってしまった。こうして1日目の更生プログラムは終了した。何というか、なんだ・・・年下の女の子に宿題を教えただけだったな・・・。このまま、この更生プログラムは年下の女の子の宿題を見てあげるだけでいいと思えば楽かな〜。それに、美里さんの弱点を知ること出来たしね。お転婆&運動だけ女の子!なんちって☆
しかし、後日、今度は体育の得意な美里さんから過酷な更生プログラム(激しい運動的な何か)でご指導されるとは夢にも思わなかった・・・。