始まりの追憶
異能力《code》が人類に感知されてから早半世紀。
異能力で、事件が起きたりなど異能力の管理は難しくなっていた。
国連は能力覚醒者を年齢問わずに大平洋に浮かぶ人工島で管理することを決定した。
青年もまた能力が覚醒し管理下に置かれることになった。。。。
薄暗い部屋の中、その部屋の中では朱と黒、そして鈍く光る鉄が入り乱れていた。
時刻は次の日付へと変わりまた、意味のない日々が永遠を刻むようにループする。そんな時刻。
俺は白い、いや死んだように白い肌、陶磁器のように簡単には自然には色を付けずらいような真っ白な肌、白い絵の具の中にエメラルド色の絵の具を入れたような違和感を残す若緑色の眼を持つ、恐らく十代前半な細身の少女とその部屋にいた。少女が云う。
「また、殺しちゃったんだね」
俺は端から見れば何も居ないような空間を見ながら云う。
「そうだな…これで二度目だな…」
「あたしの時はちゃんと泣いて悲しんでくれたのに…」
少女は悲しむように顔を伏せながら、だが、口の端は何かを面白がるように吊り上げ言葉を続ける。
「ちゃんと供養…いや、少し違うね、喰養してあげないとお母さんとお父さんの魂が救われないよ?」
少女は嘲笑うかのように少年に向けて云う。
「別に…これを人間とは俺は思えない。」
青年は一昨日のような、何年も前を見るような目をし、ただ何もなかったようにその空間を見ている。
鎖と血と肉が焼け焦げ、体とは形容しがたい何かから針金や画鋲、光りの少ない部屋で鈍く光を乱反射する包丁らしきものが血に濡れ沸き、常人にはその場に留まることすら許されない臭気を放つ畳六畳の小さな空間。
その空間に少年の焼けただれ、指が微かに動く程度の左腕から異様に伸びる七本にもなる鉄の鈍い光を持つ鎖がその空間に存在する何かを蝕む。
少女は身の丈程ある髪を引きずりにその空間に、吸い込まれて行くようにその空間の前に立った。
いや、少し違う。その空間の前に浮いている。
「そうだね…あたしも思いたくないな。あたし達を監禁してたくせに死ぬ間際には胡散臭い嘘と死の恐怖から逃れたいがための意味の無い言葉を吐いて…あんなのなんの言霊にもなりはしないのに…」
少女…いや妹の口からは屈辱と憎しみ。そして、殺意が放たれ、身の丈程ある髪がその思いに反応するように宙を舞う。
だが、すぐに顔を変え悪戯っぽい顔をして何もなかったようにこちらに振り返り云う。
「これから兄さんはどうするの?」
「これからか………そうだな………」