表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/116

元善VS善2

「逃げてばっかじゃ、相手は殺せねえんだぜクソ野郎があああああ!!」

 透明の紐がまるで、殺意を秘めた蛇のように壱へと向かう。

 しかし、壱は透明の紐を粒子で察し、粒子をブレードのように扱い斬り飛ばした。

「誰が、殺すかよ……」

 ぽつりと、呟く。

「何……?」

 信じられないものでも見たかのように瞳孔を開き、壱を見る。

「誰が、テメエを殺すかって言ったんだ」

 今まで普通の暮らしを営んできた壱にとっては完全なる正論。

 けれど、闇に身をやつし、数々の人を殺めてきた彼にとってはもはや論理ですらない。

「ふざけたこと、言ってるんじゃねえぞ……」

「ふざけてねえよ。俺は誰も、殺さねえ……」

「星陵学園の連中だって海田やそこに転がってる奴だって裏世界の連中を殺してる! お前は誰も殺さずに済まそうってのか!?」

「当たり前だ。アイツは自分の命よりも他人が気になるような奴なんだよ。だから、俺はアイツのことを助けてえんだ!!」

 壱は自分の胸の奥にあるもの全てを吐き出すように言う。

「テメエを殺したってあいつは悲しむんだ! アイツと一緒に笑えねえ未来がそこにあるって分かってんのに誰が後味悪いことするかよ!」

 時雨はその台詞を全て聞いたうえで、こう言う。

「お前は、その全てを投げ打ってでもクレアを助けたいんだろうが……なら、することはひとつだろうが……」

 押し殺すような声に壱は怯みそうになるが、ここで怯むわけにはいかない。絶対に。

「時雨……ふざけるな。俺はアイツと一緒に笑って暮らしていたいんだ。その為に、俺の――テメエの言う善行の為に殺すわけにはいかねえんだよ!! 俺の答えはずっとかわらねえ!!」

 壱は言う。

「そうか……テメエはやっぱり俺に似てる」

 ふと、言葉を零す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ