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壱VS時雨
激昂と共に二人は激突する。
衝撃でビル内はひしゃげ、アスファルトの床が豆腐のように潰れる。
「な、何なのこの戦いは……ッ!!?」
凛は二人の姿を追えず、ただただ倒壊していく建物を見るしかないのだが、これだけは言える。
「天災……」
化け物、などという生易しいものではない。
天災。
意思を持つ天災という名がふさわしい。
衝撃波が、音速で飛んでくるつぶてが全て粒子により遮られる。
これは、倉敷壱の魔術。
学園最強の海田京を倒して唯一の例外魔術。
その凄さは試合にて身に染みてわかっていた筈だが、これほどまでとは。
あまりの凄まじさに息をするのも忘れる。
生きていること自体が既に奇跡だと言える。
逃げようと思うが、脚が動かない。
本能がこの事態からの脱却の可能性を否定しているように思えた。
逃げれない、と。
「きゃっ!?」
唐突に、真下の床が崩れた。
真下へと落ちていく浮遊感――しかし、重力に反し身体がゆっくりと落ちていく。
コレも粒子の力なのだろう。
身体を包み込む粒子を見てそう思う。
直後、耳を穿つような爆音。
「くそったれ!! 魔力が、足りねえッ!!!」
壱の歯軋りでも聞こえそうな悔しそうな声に戦慄する。
壱ですら負けそうなのだろうか。
そうなると、このビル内に誰も倒せる奴が居ない。
なら……。




