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こっから本番

 カードゲームではギリギリの死闘(?)を演じた三人とその他もろもろは女の子を助けに行くためにめんどうくさくも歩いていた。

 時間的には三時間も歩いていただろうか。

「どんなに歩くんだ……俺ぁ、死ぬぞ」

「俺はもう、歩くって現象が何なのか分かんなくなってきたつーのヤベェよこれは」

 壱と遊星がぶつぶつと文句を垂れ、海田京と女の子たちが楽しく談笑(とは言っても京は弄られキャラ――一部の女には――だった)していた。

 たまに後ろから、

「殺しますよ」

「だから何で俺なんだよ!?」

 的会話がなされていた。

 面白くない上にこんだけ歩かされているのである。

 イライラ度がもううなぎ登りである。

「何か、体調が悪くなってきた……」

 壱は心なしか体調が悪くなってきたような気分に苛まれる。

 フロイトはとろとろのチーズを引き裂いたような笑顔で言う。

「そうですか。それなら、ずっと遠回りしてきた甲斐がありましたねえ」

 豹変したフロイトに全員気づき、素早く距離をとる。

「て、めえ……まさか、魔力を……!?」

 と京が表情を野犬のように豹変させて言う。

「ええ、そうです。あなたたちに気づかれないように、じわじわと。それこそ、ヒルのように生気をすわさせて頂きました」

「ま、さか……この中の全員の魔力を……?」

「ええ、そうですね。ですが、流石星陵学園と言ったところですか。この空間で魔力の目減りを感じることが出来るなんて秀才ですよ。いいや、天才と言った方が正しいのかな? おかげで、全て、という訳にはいかなくなりました」

 フロイトは後ろ手で扉を開け放った。

 フロイトの真後ろにずっと存在していた扉。

 それは、おそらく……。

「私たちのボスの待機部屋です」

 そして、と。

 親指と中指を擦り合わせて、壱へと向ける。

「な……っ!?」

 ぱちん、と指から出る音はまるで雪景色のように儚く、美しかった。

 廊下へと吸い込まれるように音が消える。

「京たち以外の人間にはさようならして貰いましょう」

 壱が消えた。

 唐突に、まるでマジックのように。

 そして……それに反応するように京たち以外の全ての人間も。

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