主人公っていっつもいいドローするよね
「俺のターンだ。ドロー! お前が何考えってかしんねーがそのままぶっ飛ばす!」
手札を確認する。
このターンで、何が出てきても殺せる手札。
心の中でにやりと笑い、海田京は魔術師を見やる。
「壱、お前の力を貸してもらうぜ」
壱のフィールド上に存在していたアステルパステルの効果を発動する。
「このターン、俺は手札を一枚墓地へと送ることで、二回の発現を可能とする! 一体目オイルマスターを発現。二体目バタフライナイトを発現!」
行くぜ、と二体の魔術師で攻撃する。
二体の魔術師は矢のようにがら空きになったフィールドへと突っ込んでいき――そのままダイレクトアタックを決めた。
「ぐあっ! ふん、だがしかしオイルマスターの攻撃を受けたこの、瞬間俺の手札に存在する魔術師のエフェクト発動!」
手札から見せられる魔術師。
その名は。
「全世界! 破壊されたシールドが宝具であった場合、このカードを顕現させる。魔術カードであった場合、相手のシールドを三枚選んで破壊する。魔術師カードであった場合、カードを一枚破壊し、デッキからカードを二枚ドローする! 後ろ二つの場合その後、このカードはデッキへと戻る!!」
何、だと……と会場内がどよめく。
あまりにも最強のカード過ぎる。
シールドが破壊され、相手の手に渡りカードをこちらに見せた。
魔術カード。
「嘘、だろ……?」
呆然と呟く京。
これは、予想外だった。
まさか、顕現させる類のものではないとは。
壱は苦渋に顔を滲ませる。
三枚――すなわち壱の負けを匂わせる枚数だ。
「俺は、倉敷壱のシールドをフルクラッシュ!!!」
全世界から放たれた効果が壱のシールドに届く――瞬間、遊星の声が聞こえた。
「そうはさせねーよ! 手札に存在する道化師を顕現させる! このカードは相手が複数の効果を持っているカード効果を発動した時に顕現させることができる!!
そして俺は、セットカードを展開!! 魔術、防護壁!! 自分フィールド上に存在する魔術師一体を生贄に捧げ――その効果を無効にし、破壊する!!」
手札に存在していた全世界が破壊され――墓地へと遅れられた。
「ありがと!」
「いいってことよ! どうだ! テメエの最強のカードとやらを潰してやったぜ!」
レインは震えていた。
「よくもやってくれたな……」
本当に、楽しげに。
「いやー予定通りだよ。完全にな」
「なにっ!?」「あれが、布石……!?」「クソッタレが!」
「俺はデッキに存在するシャイニングエラーの効果発動!」
デッキで効果が発動する魔術師――!!
「何つーチートカードだ!」
京は歯噛みする。
笑いを堪えるのが大変なのだ。
「全世界が破壊され、墓地へと送られたとき、デッキからこのカードを顕現する! さあ、全てのプレイヤーを絶望の淵へと追い込め! 最強のエラー!! シャイニングエラー!」
キラキラと光る屑のようなものが舞い上がる。
光る、埃のような魔術師。
「ふん、その時、魔術カードを発動! 警戒警報レベルナイン!! 攻撃力三千以上の魔術師が場に現れた場合、破壊する!! その後、デッキから好きな魔術師カードを手札に加えることができる!!」
「馬鹿めが! シャイニングエラーの効果発動! このカードは破壊されない!!」
「あめえのはテメエだ!! 更に発動! 宝具、凶馬の手綱!! カードの効果を無効にする!!」
レインはにやりと、チーズを裂くように口元を歪め笑った。
「シャイニングエラーの真の効果発動!! ミスディレクション! 相手のカード効果を無効にし、破壊する!!」
「俺も参加するぜ海田ァ! 俺は手札より魔術師カード『魔ねっこ』発動!! 相手の魔術師カードがフィールド上で効果を発動したとき、その効果をパクッて手札より魔術師カードを顕現させる!!
顕現しろ! 『フルブディング』! そしてフルブディングの効果発動! 相手のカード効果を無効にする! ミスディレクション!!
意趣返しだくそ野郎!!」
「なら、私も本気を出さねばならないようだな。シャイニングエラーの更なる効果を発動!! 之が原初にして最大の効果だ! インディクションエラー!! このカードを除外する!」
なっ!? 会場が揺れた。
「これにより、私のシャイニングエラーが除外された。海田のカード効果には何の意味もない!」