強奪×復讐×上辺の闇
題名ハンタww
海田京第一ハーレム木村早瀬の部屋でそれは起こった。
精神統一と修行の為、実家の魔術剣道道場で剣を振り、己の雑念を振り払う。
(何も考えるな!)
昨日見た海田の笑顔がチラつき、頬が熱を帯びる。
「どぅわああああああ!!!」
気合と共に一閃――
その時。
「よお。ハーレム要員さん」
その声を聞いた瞬間、肌が粟立ち、海田と戦った青年を思い出した。
竹刀は固まったように動けず、視線を竹刀の先へと飛ばす。
血のように真っ赤な赤毛。
その瞳は黒々と輝いている。
名は山辺亜門。
闇の世界で暗躍していたグループのリーダーだ。
「アンタッッ!?」
「ああ、単刀直入に言うぜ? 俺に付いてこい」
「誰がアンタなんかに……ッ!!」
天司を操り、風の魔術を一挙に形成し、竹刀の風を纏わせる。
ガラスが砕けたような音とともに早瀬の周りの空間が裂けた。
「うぜえからさっさと終わらせる」
咄嗟に記憶が蘇った。
(あの時はどうやって凌いだ!? ……海田が覚醒してそれで……っ)
圧倒的な力で終わらせただけだ。
間違っても自分が勝てる相手じゃない。
コイツに勝てるのは、海田か――倉敷壱のただ二人!
亜門は唇を歪め、笑った。
反射的に目を瞑る。
(死ぬ……!?)
「……ていうのは嘘」
「へ?」
腹から背中に駆け抜けるような衝撃が走った。
「か、は……?」
「お前程度のメス犬に全力使う訳ねーだろうが」
簡単に気絶してくれた早瀬を肩に引っ提げ、引き裂いた空間からケータイを取り出した。
引き裂いた空間は中は闇に満ちており、中が全く見えない。
ケータイから着信音がなった。
黙って耳に当てる。
「クレアは無事奪ってきたか?」
「クレアの拉致はまだ終わってねー。ただ、海田を釣る餌なら釣れたぜ」
「……復讐か」
「俺の雇った交換条件だろーが。それに、お前も復讐だろ? 大和さん」
「アイツのせいで俺の会社の本部は丸潰れにはなったが、俺の本当の目的は復讐じゃない。アイツの能力を解明し、応用した武器を創り上げる。それが俺の目的だ」