表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/116

魔力

 壱は爆撃地帯もかくやというほどの瓦礫の山を押しのけながら、必死で地下への入口を探す。

「どこだよちくしょ……」

 全校生徒の魔力を体内に入れ込み、使う。

 こんなことを出来るのは壱の魔力容量が異常に大きかったからだ。

 しかし、魔力の質が全く違うのものを入り込む場合、扱う事事態に多大な副作用が出る。

 戦争時代はそれを使って死んだ者も多数居たらしい。

 壱の場合、『体力の大幅低下及び、能力の一時的消去』

 息が荒くなり、焦りが身を焦がす。

「死んでりしてねえだろうなアイツ……!?」

 手を切り、腰を痛めながらも瓦礫を退けて行く。

「記憶の方は死んでるかもなあ」

 真後ろから、声が聞こえた。

 思い出したくもない声だ。

「結構痛かったぜクソッタレが」

 壱の心臓が焦ったように不規則な鼓動を刻む。

「オイオイ、アレ喰らって生きてるってやばくね?」

「舐めんなよ」

 背中から、突き刺すような鋭い声が聞こえる。

 時間稼ぎをするために、ゆっくりと振り向く。

 能力を使用できないと分かった時点で、瞬殺される。

「は……?」

 背中。

 時雨の外見が一新されていた。

 瞳の黒が、真紅のような赤に。

 髪は白く、雪のような純白へと。

 そして一番の変化は背中から突き抜けた空のような蒼の翼。

「何、だソレ……?」

「あ?」

 時雨は何も分かっていないような口ぶりで、疑問の声を出す。

「わかってねえのか……?」

「何いってんのか理解できねえが、死んでもらうぜええええええええええええ!!!」

 翼が振るわれる。

 壱には視認できないどころか、意識すら出来ない速度で進む。

 壱の上半身と下半身を真っ二つに割る一撃。

 壱の視界が白に塗り潰される。


『あなたは何を望む?』

 声しか聞こえない空間。

「何を、望む?」

 何をって何を?

 漠然としすぎて分からない。

 世界平和?

 金?

 それとも……?

『あなたが一番望むものだよ』

「……笑顔?」

『笑顔って?』

「クレアの笑顔がもう一回見たいかな」

『……その程度、なわけ?』

 何か一拍の間に様々な嘲笑が入った気がする。

「あーそうですそうです!! そうだけどとにかくそれを取り戻すくらいの――力が欲しい! つーか、アイツが一生無事に暮らせるくらいの力が欲しい!」

 誰にも奪われないくらいに。

 誰も手出しできないくらいに。

 世界で一番強く。

「誰よりも強い力が欲しい!! もう泣かせないくらい、絶対的に強くなりたい!!!」

『いいね。その感じ。前とは違う』

 にやりと笑った気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ