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「うーむ。魔力操作ってどうやんだ?」

 思いっきり力を込めるが、一向に魔力が出てこない。

 ……………………。

「やべえ……」

 ぶわっ、と汗が吹き出る。

「ちょっとおおおおおおおおおおおっ!? 魔力が出せなかったら俺負けるよ!? ちょいちょい、早く出て来いよ俺の魔力ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 尻に力を入れ、掌から魔力を出すイメージ。

 ボン! 爆発し、山の中に居た壱の頭上に砂が大量に降ってきた。

「……ふ、ふへ。ふえへうへうへうへうへふえうへうへへうえ」

 駄目だ。魔力が出ない。勝てない。

「武器はあるのに抜けない……」

 クレアの笑顔が凄く遠くに感じる。

「どうする? どうすれば魔力ってだせんだ? 沙耶が言うには、奥底にある蛇口を捻る感じらしいけど……どんな感じだ?」

 考えている内に一ミリ秒経ってしまった。

「だあ、くそ! 行くしかねえ!!」

『命の方は無事』という言葉が気になる。

 取り返しのつかない事になりそうな――

 魔力を練るということをせず、ビルにすぐさま戻った壱は、

「何だ……?」

 そう言い、振り返るつもりの時雨の唇の動きを見た。

 急接近し、顔面を蹴り飛ばす。

「存在確率か……っ!?」

「掠った……!」

 時雨の幾万もの拳や蹴りを飛ばし、壱は防御に徹する。

 一秒経った頃、二人は同時に動いた。

 二人の拳が頬に当たり、壁を大きく崩した。一部の床が崩壊する。衝撃波は風となり、一〇キロ先に居る綾瀬たちまで届いた。

「ようやく気付いたか……?」

「ああ。お前の存在確率は時間制限がある。分子結合を取り外すなんて馬鹿な真似はそうそう出来やしねえ……。要するに、時間を置けばお前を殴れる」

 あん時は冷静にお前のことを見れなかったからな、と壱は言う。

 時雨は肩を震わせた。

「いいぜ、主人公はそうでなくっちゃいけねえ」

 時雨は笑う。

 かつて、一人のヒロインの為に立ち上がった男は目指す場所も分からず拳を振るう。

「種の割れたマジックはもう使わねえ。全力でテメエを潰す」

 壱は、現主人公の彼は――元主人公の敵として相対する。

「ああそうしてくれると助かる。クレアを助けに行かなくちゃなんねえんだ」

「はっ。綾瀬って奴の敵討ちやら、クレアの救助やらヒロインが多くて大変そうじゃねえか」

「倒せばクレアのこと教えてもらうからな……っ!!」

 床を蹴り砕き、時雨へと接近する。

 拳を顎へ、時雨は膝を上げ壱の顎をかち上げた。

「くっ!?」

 無数の粒子を飛ばし、時雨の全身を叩こうとするが、時雨の全身から不可視の衝撃が放たれ粒子が消し飛んだ。

 壱は粒子を足がかりにし、時雨の上と取る。

「おおおおおおおおおッ!!!」

 踵落とし。

 脚は空気を掻き飛ばし、真下へと放たれた。

 全校生徒の魔力が吹き出て、虹色の光がまばゆく光る。

 無意識の内に壱は魔力操作を使っていたのだ。

 時雨は両手で踵落としを防ぐ。

「な、」

 時雨が気付いた瞬間、壱は顔面へと粒子を叩き込んだ。

 壱は魔力を更に上乗せする。

「吹き飛べえええええええええッ!!」

 踵から粒子を飛ばし、時雨の顔面へと攻撃させた。

 無数の攻撃は、虹色から透明な光へと姿を変える。

 滝のように、撃ち出す粒子は時雨を真下へと飛ばす。

 床をぶり破り、次々と穴を開けて行く。

 いや、余りの速度でフロアごと打ち抜いて行く。

 要するに根元から床が抜け落ちていっているのだ。

「ご、があああああああああああああああ!!!!!?」

 壱は粒子をビーム状にして、飛ばす。

「終わりだ」

 衝撃波は球状に飛び、ビル自体を粉々にした。

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