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倉敷壱と海田とハーレム

「む……」

 壱は未だぼうっとする思考で周りを見渡した。

「保健室……か……」

 白いカーテンで区切られたベッドで寝ていることを再度、確認する。

 シャッと勢いよくカーテンが開いた。

「よお倉敷」

 イケメン海田だった。

「はあ……ハーレム型チート主人公さん(場合によってはご都合主義も厭わないぜベイベー)……別名『某携帯小説サイト量産型ザ……主人公』」

「それは俺に対する嫌味か? あと、変なネタ持ち出してきてんじゃねえよ」

 はあ、何で俺の周りはキャラの濃い奴らばっかなんだよ、と京はこれまたテンプレートな小言は吐く。

「つーか、誰が俺の運んでくれたんだ?」

「先輩……麗那さん」

「ああ、あの生徒会長か」

「すげえ心配してたぞ。つーかアイツ誰だよ? あ、やっぱりいい。面倒には巻き込まれたくない」

「全く……お前のそのテンプレートっぷりには笑えるな。多分アレだよ。お前は今ここで俺と会話してる時点で物語に巻き込まれるフラグは立ってんぞ」

「……はあ……嫌なこと言うなよ。悪魔と戦った時だってそんなことが文が言ってたし」

(さり気にこういう意味深なことを言うのがこれまたテンプレだよなあ……人格攻撃になりそうだから言わないけど。中二っていうか……俺の前の学校に居たなあこういう奴「そういえば俺この間ハッキングしたなあ」とか言って俺が「え? 何それ」って訊くまで側でいい続けてた奴……懐かしいなあ。そういえばオタクだったなあ。あ、zipファイルで漫画を借りてたっけ? 読まないと……でも解凍するのが面倒くさい。あー。つーか……)

「そう言えばクレアと倒れてた奴は?」

 そういえば、と言ったが忘れていた訳ではなくタイミングを見計らっていただけだ。

 無事だって言うことは陣の証言からわかっているんだし。

「クレア? ああ、アイツなら隣のベッドで寝てる。倒れてた奴は、逃げちまった」

「そっか。あー神風さんにお礼言っていてくんねえか? あと、海田もありがとな」

「別に俺は何にもしてねえよ。あと、お礼は自分で言えよ」

 そう言ってポケットから小さなデフォルメされたクマが四隅で唸っている小さな紙を手渡してきた。

「メモ帳?」

「麗那先輩の電話番号。あの人「壱君にいつ渡そういつ渡そう」ってずいぶん悩んでたぜ」

「ふーん」

 そんなことを俺に言ってどうするつもりなのだろう? と、壱は首を傾げる。

「ま、お礼の電話はしてみるわ」

 ありがとうな、と壱はがもう一度言ってから、海田は踵を返した。

「じゃあ……」

 な、と言う前にガシッと白いカーテンから真っ白な手が伸びて海田の腕を掴んだ。

「ちょっ、早瀬!? 何でいきなり腕組むんだ!?」

「何でって……だって、で、デー」

「ああ、そうか。カップル限定の食べ放題なんだっけ? って痛い痛い!! 何で間接技を決め……ッ!!?」

「うるさい。行くわよ」

「(京はやはり鈍感を発揮している模様)」

「(多分、今日中にはくっつかないんじゃない?)」

「(甘い! 男なんて獣なんだから一瞬の間違いで……!)」

「(監視を続けるわよ!)」

「「((ラジャー!!))」」

「あれ? 何か声聞こえなかったか?」

「聞こえてない聞こえてない! (アイツら、私と京の仲を進展させまいとして……っ!!)」

 何ていうハーレムうふふな声が聞こえるが、壱には少し海田が羨ましい。

「死ねばいいのにアイツ」

 何ていうか、一番居心地のいい体勢ではないだろうかコレが。愛や恋を信じていない壱だが『好かれる』という事実のみは羨ましい。

 壱みたいに運のない男の場合は悲惨なモノだ。

 遊星ルートで決定しているクリス。

 まだ知り合って間もないのに告白して撃沈してしまった生徒会長(ラノベなら中古品扱いの傷物状態。少女漫画及び、別の『某ケータイ小説サイト』なら返り咲く可能性アリ(どちらを本当に愛しているのかを知ったとかで海田のもとに舞い戻ることが条件だが……そしてヘビーな場合は海田が死ぬかもしれない)……しかし基本的に『完璧超人』は少女漫画の主人公になりえないので結果的にナシ)

 そして、海田を倒したことでオマケのように付いて来たハーレム(海田のだよ)要員達(フラグを立てることすら不可能)。

 しかし今出ていなかったフレア、綾瀬、クレアが壱に惚れるという展開があれば海田のようなハーレム(海田の十分の一程だが)を作ることが可能かもしれない。

「つーか、神風さんのファンクラブがあるって話だしそっから適当に強い男の子を見繕ってくればいいのに……」

 もしくは、恋に破れた生徒会長が行き着く先――今まですっと助けてくれてた副会長とか(居るかどうかは知らない)。

「って。俺は何について考えてんだ」

 意識を切り替える。

 隣のベッドとを区切る白いカーテンに手をかけた。

海田サイドを次の話ではちょろっと書くかもしれません

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