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対決1

 ドアを開けた瞬間に見えたのは男の顔。

 壱の頭二つ分は高い身長の持ち主だった。

 威圧的な瞳で壱を見ている。

 雰囲気が普通じゃない。

 押し隠していてもわかる、妖刀のような刺々しく禍々しい雰囲気。

(コイツは、ヤバイって……)

 腰を引けるのを感じる。

 心臓がバクバク高鳴っていく。

「俺の名前は山内陣……あがっていいかな? 色々話すことがありますし」

「ああ。別にいいですけど」

 声が震えていないかどうか、反芻する。

 大丈夫だった筈だ。

 陣を部屋に上げると、陣はテーブルの前に座って黒光りするケースを真横に置いた。

 陣は部屋を観察するように周りを見渡す。

「天司が居ないようですが?」

 壱はトイレに目を向けたくなるのを抑える。

「別にいいでしょう。どうだって……それより話を」

「ああ。それもそうですね」

 ケースの留め金を外して開け放つ。

 そこには、札束が漏れ出る程にあった。

「まさかとは思うが、金をやるからクレアを渡せって言うんじゃねえだろうな?」

 表情が引き攣る。

「わかってるじゃないですか。一億上げるから天司を渡してくれないでしょうか?」

 そう言う陣は、しかし、壱がどういう答えを出すのかわかっているように薄く笑っていた。

 壱は予想通り、想定通りの言葉を口に出す。

「嫌に決まってんだろ」

 壱はこれから何が起こってもいいように粒子に感覚を研ぎ澄ます。

 海田レベルなら文字通り一瞬で叩き潰す用意をする。

(相手が海田並みなら僥倖なんだが、そりゃあねえか)

 陣は快楽を求める人間そのものの顔でこう言った。

「さて、倉敷壱さん。殺し合おうか?」

「……ッ!!?」

 ゾクッと、恐怖が背中から頭にかけて冷気がせり上がった。

「ふざけんな」

「……なら天司を殺す」

「……あ?」

 何、言ってんだ? と壱は訝しげに問う。

「トイレに天司が居るよな?」

「何で知ってんだ! そんなこと!」

「そう怒鳴るなよ。七大魔術師の弟子なんだからこれくらい出来て当たり前だろうが」

 耳に一指し指を入れて穿ほじる。

 気負いのないその態度は誰がどう見ても『異常』だった。

「テメエ……! クレアを殺したらぶち殺すぞ」

「……」

 トイレのドアが激しく開いた。

「……クレアっ!?」

 クレアは転がるようにトイレから出てきた。

「い、壱さん!?」

 引き攣った声で壱の名前を呼ぶクレア。

「ま、天司も来いよ。殺し合いを見せてやる」

「殺し合い!? 何言ってるんですか!?」

「俺は殺し合いなんて……」

 言いかけた言葉は途中で途切れた。

 理由はクレアの首筋に立てられている空気の刃。

 空気を圧縮、固定化して刃を作り出しているのだ。

「テメエ……ッ!」

「だから怒鳴るなよ。お前が殺し合いを受けて立ってくれれば天司は殺さない」

「クレアを殺す? 無理だろ。そんなの」

「別にインパクトを出す為に殺すって言ってるだけなんだけどな……。別にボコボコにして差し出してもいいんだよ俺は」

 クレアの首筋から血が垂れた。

 空気の刃を押し当てられたのだ。

 怒りの衝動が壱を支配しそうになる。

 拳をその顔面に叩き込んでやろうかと思った。

 怒りで震える声で言う。

「……わかった。戦う」

「壱さん!? 止めて下さい! 私のことは……っ!」

 悲痛な叫び声は空気の手でクレアの口を閉じさせることで止められた。

 クレアの力では空気を押し退けることも出来ない。

「さて……闘技場へ案内する。着いて来な」

 つっても、学校内のだけどな、と酷薄な笑みを浮かべた。

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