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俺が天司と出会ってチートハーレム!?  作者: 青空白雲
倉敷壱の変化した日常
30/116

倉敷壱の華麗なる一日 朝の部

 倉敷壱の朝はクレアを起こすところから始まる。

 夜は流石にあのドレス姿では居られないのか、Tシャツとハーフパンツだ。

「おーい。起きろ。今日は納豆ご飯だ」

「ふぁい?」

 そう言って寝ぼけ眼をごしごしと腕で拭いて布団から起き上がる。

 起きたクレアと共に納豆がけご飯を食す。

「わーいやったー! 納豆ご飯!! いただきますっ!」

「そりゃよかった。いただきます」

 クレアはとても無邪気な――穢れをしらない子供のように笑って納豆ご飯を猛烈な勢いでかきこみ始めた。

 テレビを点けて朝のニュースを聞き流す。

 芸能情報とかどうでもいい。

 アイドルや俳優が凄まじい速度で生まれ、淘汰されていくこのご時世に一々名前や顔を覚えてられない。

「何で、芸能人の恋愛事情とかってニュースになるんですか?」

「さあ? 有名だしそういうのに興味のある人も居るしな。視聴率が取れるんじゃないか? いや、わかんねえけど」

「へーそうなんですか。あ! 今日の子犬ですよ!」

「……あー……もう学校に行かなくちゃなんねえのかあー」

「今日も行っていいですか? 学校」

「えー? つか、何でいっつも学校にくるんだよ……」

「暇なんだもん」

 むっとしたようにクレアが言う。

 敬語で言うのを忘れている。

「暇で学校にくんなよなー」

「……むー」

 壱はむー? と聞き返し、『今日の子犬』を見る。

 どうやら今日の子犬は極度の寂しがりやでどこに居ても着いてくるらしい。

 その子犬とクレアが合致して、ストンと腑に落ちた。

「あ、寂しいのか」

「……」

「図星?」

「ち、違います! 私はあの、暇ですから」

「へいへい。んなら昼休みに来いよ」

「違うんですからねー!」

 クレアが両手を上げて言うが壱は無視する。

 そろそろ行かなくては挨拶係りに間に合わない。

 挨拶係りとは、期間限定の先生役で、校門の前に立って生徒に挨拶する係りの事だ。

 で、壱は転校生だから、とか言う意味不明な論理によってこの係りに抜擢された。

 迷惑この上ない。

 しかも昨日、Sクラスを圧倒していたので認知度は明らかにうなぎ登りだ。

「あ、お弁当は学校に持って行きますから」

 そうクレアは笑顔で言った。


ЖЖЖЖЖЖ


 倉敷壱は溜息を吐いた。

 昼飯代として持って来た六百円をカツアゲされたのだ。

「まあ、六百円だし……クレアと俺の飲み物代だし昼飯はクレアが作ってくれてるし……」

 いいんだけど! と壱は心の中で叫ぶ。

 この学校の高校生達に「ねえ? ちょっと金貸してくんない? ああ、コレは金貸してもらってるだけだから」とか何とか林道で言われて金を払ってしまった。

 はあ、とトボトボ情けなく歩く。

「まあ、ウォータークーラーがあるし」

 最近ついてねえーなー、と壱は思うのだった。


ЖЖЖЖЖ


 挨拶中にされたこと一覧。したこと一覧。


 綾瀬に投げキッス(しっかり掴んで投げ返した)。


 クリスからの応援(「ならお前も一緒にしてくれよ」と言ったら笑顔でかわされた)。


 鞍馬から「おはようございます倉敷さん。あとでボロ雑巾が来るから」という丁寧な挨拶(「おはようございます。ボロ雑巾?」)。


 海田から「テメエは俺がぶっ飛ばす」という宣戦布告(「それはヤダ」と言った)。


 海田ハーレムの一員――キセヤから「おはようございますその……壱、と呼ばせてもらってもいいでしょうか? 緊張しますわ……」と顔を赤らめて言われた(「倉敷って呼んで欲しいんだけど」と笑顔で拒否)。


「なら私のことはキセヤと呼んでください」とキセヤはガッカリした様子で言った(ああ、呼ばせてあげればよかったかな、と思う)。


 同じく、海田ハーレムの一員で挨拶を共にしていた生徒会長から「今日から壱って呼ばせてもらうわ。いいでしょう? 私のことは麗那でいいからね」と言われる(「はい神風さん。倉敷って呼んでくれたら嬉しいです」と言った)


 同上。木村早瀬から「貴様は私と京で倒す! それと麗那、お前も私は許さん。勝手にこんな奴に……」(「こんな奴って……あと喧嘩はする気ねえから」と壱。「あら? あなたにとっては私達が居なくなったのってラッキーなんじゃない? それに壱のことを悪く言ったらいくらあなたでも許すわけにはいかないわね」と凄まじく怒っている感じで麗那。意味が分からず首を傾げる壱)


 同上から妹キャラ。「私、あの……お、お兄様以外でこんなにドキドキするのは初めてで……うう……おはようございます……壱さん……あ、私の名前は智雪です」と茹で上がったタコみたいに言った(「はいおはようございまーす」)。


 同上から戦闘狂。「私をあんなに速く押し倒しちゃうなんてー。このエッチ」とツンツン突っついてきた(「おはようございます……あとエッチじゃないんで……」)。


 同上からフライン=カネット。「私と友達から始めなさい!」と顔を真っ赤にしながら(「あん? 友達? まあいいけど……ああ、おはようございます」)


 更に女子軍団。「キャーこの子が海田君を倒したんだって!」(「いや、負けたんですけど」)「あーあ。こんな不細工で強そうでもない奴に負けるなんてちょっとガッカリよねー。アンタもそう思うよね?」(「ええ……まあ……そっすね……」「壱は不細工じゃなくて標準よ! 京と比べるのは可哀想だわ」と麗那「そういうフォローは止めて下さい」)


 更には男子軍団。「壱さんマジパネェッス」(「え? ああ、ありがと」)

「海田マジムカついてたんだよ。カッコよかったぜ!」(「よかったな……色々」)

「俺の彼女がさあ……海田の話をピタリと止めてくれてさあ! お前おかげだよ!」(「う」とA「ら」とB「や」とC「ま」とD「……し?」と半歩遅れて壱)

「じゃあーなー」(「おう! またなー」)


 そしてミーハー軍団。「倉敷さん! サイン書いてください! ファンになりました!」(「さ、サイン? 倉敷って楷書で書けばいいの? 筆記体? 無理です」)

「倉敷私と付き合ってよー」(「あ、はは……神風さん何か顔が怖いっすよ?」)

「友達になってください!」(「まあいいけどって、またしても神風さんは何がご不満なんですか!」「私は壱に惚れてるの!」「さようですか」)

「壱! 抱いて!」(「おはーよーございます!」)


 そしてホモ軍団。「壱! 抱いて!」「真剣に俺と付き合ってくれないか?」(「おはようございまーす!!!!!」)


 そして憧れ体質の皆さん。「俺を弟子にしてください!」「舎弟にして下さい!」「皆! 壱さんが挨拶し終えるまで待って、それから皆で担いでクラスまで運ぶんだ!」(「気持ちは嬉しいけど……止めてくんないかな?」)「ういっす」「はい」「わかりました」「くうー! 壱さんのそういう謙虚なところにまた惚れた!」「ボクは壱さんにみたいになりたいんです!」(「あ、うん……頑張って」)


 そしてボロボロになった不良軍団。「悪かったな……アンタが海田より強いって噂になってた人だとは知らず……」(「今度から俺以外にもすんなよ。ぶっ飛ばすからな」)「は、ハイ!」(「……鞍馬が倒したのか?」)


「はあ……ようやく終わった……」

 無駄に疲れた挨拶運動だった。

「朝から疲れる……コレが海田効果か……」

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