……!?
「惚れましたわ……」
とか、何とか言い出すキセヤに戦闘狂の女子――涼宮は眼を丸くする。
「え? 何?」
「海田より強いし!!」
「ええええええええええ!!!?」
「いや……私も……」
「……ライバルがいきなり出来たっ!!?」
……。
『ま、まさかの事態!? 壱さん最悪の展開です!』
と、沙耶。
「……コイツらの乗り換え速度マジ半端ねえっス……」
と、海田に残留中の女子。
「……はっはっは。女子の乗り換え速度を舐めちゃいけない」
と、壱に乗り換えた女子が言った。
『もうね。ないよ……それはないよ……女の子って怖い……』
沙耶がそう呟く。
何はともあれ壱に六人のハーレム要員確保。
『あーあ……壱かわいそ』
沙耶は本気で哀れみの声を出した。
ЖЖЖЖЖЖ
大会の優勝者は『木村早瀬』
「ありがとうございます」
と、木村がそう言って会場内に一礼をする。
パチパチと拍手が送られた。
「あーねみい……」
壱は指の腹で目尻を拭く。
「壱さん?」
「うん。何か眠くってさ」
「うん眠い」
「うん私も」
「くっだらねえ試合を見てたからなあ……」
そう遊星は言って欠伸をする。
海田は次の試合を放棄し、Sクラスの試合に出れる人数は決まっているらしく文と接戦したくらいだ。
教室で真剣衰弱をしていたのだが、もう試合が面白くないと思ったのか、女子が入ってきて面倒くさいことにクレアや壱に質問をぶつけてきたので、会場に逃げてきたのだ(表彰式は見に来ないといけないし)。
「んで、もう帰っていい訳?」
と、壱が言う。
遊星が首を捻る。
「さあ? いいんじゃね?」
「その言葉は信じらんねえな」
「だよなあ……ははははは!」
「別にいいよ」
「あん? 何でクリスが知ってんの?」
「二人は殴り合ってたから知らないだろうけど」
「ああーでもアレは……コイツが俺をチキン呼ばわりしやがったから……まあ本気じゃねえけど」
「当ったり前だろうが! 本気だしてたらお前は塵になってるからな」
「ほう? 学園最強の存在に楯突くとはな!」
「お前そいうのは嫌いなんじゃねえのかよ!」
「こういうのは別だっつーの」
二人して拳をぶつけたり、身体を軽く殴ったりする遊びを開始する。
そんな感じで表彰式は過ぎ去った。