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だいっ嫌い

 柔らかい土を敷き詰めて作ったその会場は今や熱気に包まれていた。

 観覧席と戦いの舞台は防御ガラスで遮られ、選手達は観覧席の真下の壁(に見立てたドア)とガラスを開けて出てくる構造になっている。

 そこには海田京と男子生徒が対峙していた。

「頑張れ京ー」

 と、フライン。

 観覧席の少し前にサポート席という特別なベンチがあった。

 縦三メートルに横、三メートルある防御ガラスが目の前にあるだけの危ない観覧席だ。

 五人だけ座れるというその席で文、フライン、麗那、早瀬にキセヤが居た。

 雪は物凄く悔しそうにガラスに顔面をへばりつかせる様にして観ている。

 そこまでしなくてもいいんじゃねえか? と海田は思う。

「初戦から海田とはついてねえぜ。だが、俺の魔術には勝てないな」

 イラッ。

 海田はムカついて吐き捨てる。

「はっ。ふざけてろ」

 防御ガラスを持った審判(某理事長さん)が「試合、開始!」と声を張り上げた。

 男子生徒はそれなりの速度でもって京に近づき、光を掌から生成し、放つが、京は難なく避けて男子生徒に掌を当てる。

「攻撃ってのはこうするんだよ」

 雷を掌から発動。

 相手を痺れさせる。

(今日の俺はデンジャラスだぜ♪)

 そう思った瞬間、腕を力強く捕まれた。

「あん?」

「これで終わりだ! くそったれ!」

 業炎が腕を逆巻き、海田を襲う。

(なるほど。電撃をわざと受けて、俺にこれを……。ま、それがどうしたって範囲だけどね!)

 業炎が吹き散らされ、男の顔が驚愕に歪む。

 業炎が吹き散らされた理由は簡単。

 海田が業炎を解除魔術を使ったからだ。

 解除魔術は一握りの人たちしかできないらしいが、海田は簡単にできた。

 ま、どうでもいいけど。

「これでチェックメイトだ」

 更に強い電撃をぶつけてやった。


ЖЖЖЖЖ


 壱は控え室に備え付けられているテレビでその戦いを見ていた。

 というより、皆と一緒に教室でUNOをしていたところ、教師に「貴方は海田と戦う気はあるんですか!」と怒られ、録画された映像を見せられることになっていしまったのだ。

(「これでチェックメイトだ」ねえ……嫌味な野郎だ)

 壱は海田がだいっ嫌いになった。

 この戦いで凄くそれが顕著に現れる。

「イライラすんなーアイツ」

 あの才能の見せ付け方をされた奴がどんな気持ちになると思ってんだあの野郎――。

「さて……行って来るか」

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