大会スタート
そんなこんなで大会スタートである。
壱達は会場へ向かって歩いていた。
因みに編成を以下の通り。
壱から見て左にフレア。右に綾瀬。
後ろで引き攣った笑みを浮かべるクレア。
そして更に後ろでぎこちない会話を続けているクリスと遊星。
「何というか両手に花って感じだよね!」
壱は堪らずに二人に笑いかけるが、二人はぶすっとしたまま、
「綾瀬のどこが花なの? せいぜい雑草がいい所でしょ?」
「ふ……っ。私はあなたとはいい友達になれると思ってたんだけど!」
ぐいっと綾瀬に腕を引き取られ壱はこけそうになる。
更に反対側からフレアが腕を引っ張った。
「何私に相談もなく腕を組もうとしてんのよ!!」
凄まじく痛い。
「痛い血愛知相対!!」
「中国語か何か?」
「大丈夫? まあ止めないけど」
「最低だコイツラ!!」
「いやー三人とも仲がいいですねー」
「クレアちゃん。どこをどう見てもありえないと思うけど」
「この構図は羨ましいと可哀想が合わさって嫉妬できん」
と遊星がぼんやり呟く。
「京は私にサポート席について欲しいって言ったの!」
そして、遊星の更に後方では海田京を巡っての戦いが起こっていた。
皆の憧れ万能生徒会長――神風麗那と、金髪巨乳美少女であるティナ。
更には眼鏡の雪や、王道系美少女である綾風文とキセヤに赤髪の美少女フライン・カネット。
そして、鋭い眼光を持った美少女である木村早瀬。
「私と京の会話に割り込むなあああああああ!!」
「お前らなんでそんなに仲が悪いんだ……」
「鈍感は死ね!」
ギャーギャーワーワー。
ぶっちゃけうるさい。
というか、周りの男子達は煙たそうに敬遠し、海田に視線を向けて去っていく。
女子も概ねそんな感じ。あと海田に群がる女子達を恥ずかしげに見て去るのも居た。海田に羨望の眼差しを向ける奴も存在したが。
壱達は思わず自分達がしていた行為が無性に恥ずかしく思えて無言で縦に並び歩く。
周りの奴らの評価はこうだ。
「あいつ等殺していいかな?」
「遊星。落ち着いて。私が毒殺してくるから」
「お前が落ち着け」
と壱。
そして外野。
「ていうか、周りの奴らの迷惑も考えろっての」
「あーあー海田はあんなにモテていいよなちくしょう……」
「くっ。私だってあんだけ可愛かったら海田くんにアピールできたのに」
「私は海田だいっ嫌いだけどね。性格が無理だわ」
「ははっ。海田に惚れるとか感性が定まってないブランド好きだけでしょ。常識的に考えて」
「どこの星の常識!?」
「海田さんって悪魔を倒したり学園の平和を護ったりしてくれたのよ! カッコいいじゃない。それに顔もいいし……きゃー」
「ミーハーだなあ……つーか生徒会長最強じゃね! 可愛くね!?」
「あーつか俺はフライン派だけどな! 完璧過ぎるのはよくない」
「お前ら……今では倉敷ハーレムが展開してるって噂だぜ! 俺は綾瀬ちゃん派ー」
「俺は告白間近まで迫ったフレアかなー」
「そういや、あのドレスっぽい服きた子はなんなの? 生徒じゃないだろ? 何か倉敷といつも一緒に居ねえ?」
「まあこの学園って頭おかしいくらいに部外者歓迎だからなあ……この前も海田の知り合いの小学生みたし」
「あー! あったあった。俺おにいちゃんって呼ばれたぜ?」
「え? マジで? いいなあ」
「お前ら……揃いも揃ってロリコンかよ……まあ擦れてる女子高生とかより可愛いのは認めるが……」
「そういや男がこの学園に侵入してきたときは用務員さんに潰されてたな」
「ああ、一応セキュリティ的なものはあんのかもな」
「壱ってあり得なくない? 強そうじゃないし」
「あーわかる。海田は何か雰囲気があるからいいんだけど倉敷は明らかに……あれだもんね」
「そうそう。雰囲気ないつーか。可哀想なくらいに弱者の雰囲気丸出しだよねー」
壱はその会話を聞いて普通に沈む。
「何で女子高生ってこんな人の陰口を叩けるんだ……。俺は、弱者の雰囲気丸出しだったんだ……」
「いや。私はそんな会話しないから大丈夫だよ! それに最近は男子もそれっぽくなってきてるし……嫌な時代だね」
「男女平等を間違って使うからこんなことになるんだよな。男子は男子らしく、女は女らしいのが『良い』でいいのによー脳の構造だって違うしさ。区別と差別の違いがわかってねえんだよ」
「何で遊星がそんな評論を……?」
「家庭的な女の子が欲しい」
そんな馬鹿な会話を続け、ようやく会場に入った。