天司の力と上級天司
壱はとりあえずこれからどうするかを考える。
(何はともあれ地図だよなあ……。どれくらい広いかも分かんねえし。しかし、天界って金何なんだ? 日本円でOK? そんな訳ねえなあ……。しかも俺犯罪者みたいだし迂闊なことはできないというオマケつき……。ヤバい。全体的にヤバい。無計画もヤバいし先行き不透明感もヤバい。いやー凄いなあ俺。マジでどうしようか)
うーんと悩みながら壱は歩く。
「おい待て貴様!」
後ろからずっとついてくる強面天司が声をかけてくる。壱は気づかない。
「マジでどうしよう……」
街中の天司の視線を一手に集める。街を練り歩く。
「貴様あ! 小馬鹿にしおって!」
ズババババババ! という空気の引き裂く音が連続する。
ドババババババ! という何かが射出される音が連続した。
ゴウン! という爆弾が爆発するかのような音が炸裂するが、壱には全く効かない。それどころかビルが壊れ、一般市民天司が逃げ惑う。
しかし、壱は思考に没入し、気づかない。
一つだけ名案が思い浮かんだ。
そう、国を掻き乱せばいいのだ。
「これしかねえよなあ。天界を俺の都合で掻き乱す。そうすりゃ地位の高い奴も見つかるだろ」
不法侵入者である壱が歩き回るだけで徐々に、まるで雪だるまがガンガン大きくなるように事態も加速度的に大きくなるはずだ。
壱はそう考えると、後ろを振り向き、きょとんとした。
「何か人数増えてね?」
「ようやく気づいたか馬鹿めが!」
百人ほどの量の天司に増えている。
どうやらずっと考え事をしていたため、気づかなかったらしい。
「ありゃ? ビル壊れてるしお前ら何やってんだよ?」
眉を潜めて言う壱に強面天司は豪快に笑う。
「これは全て貴様の仕業だ! 貴様が投降すればこうはならなかったのだからな」
他の天司たちも同調する。
「貴様のような犯罪者はオレたちの最高の餌だぜ! 暴れる理由を作ってくれてありがとよ!」
壱はあまりの傍若無人っぷりにむかっとしたように天司達を睨む。
「天司って性格良くねえのな」
「貴様のような犯罪者に言われたくはない!」
天司の怒声が街中に響く。
「この街ごと――消す!」
直後、凄まじい轟音と爆音が鳴り響く。
閃光が辺りを満たし、一般市民天司たちは咄嗟に地面に伏せる。
やがて、閃光が消え、鳴り響く轟音が残響へと変わる時、壱の軽い声が聞こえた。
「そんな大技出して悦に浸ってんじゃねえぞ」
天司たちはビックリしたように瞳孔を開ける。
「そんな……馬鹿な!?」
ビルや店、一般市民天司の身体に傷一つついていなかった。
「無傷……だと? どういうインチキを使ったんだ!」
「粒子。俺の唯一無二の能力だ。あの程度の攻撃なら守り切ってみせるさ」
壱は余裕ぶって笑う。
もう二度と。
「取り零したくねえからな。テメエらじゃ話にならねえ。上級天司とやらを連れて来いよ」
壱のセリフにプライドを傷つけられたのか、天司たちの顔が悪魔のように歪んだ。
「貴様ぁ! 後悔しても遅いぞ! 上級天司は俺達のように甘くはないからな!」
「分かったから連れて来い。助け出すまでは後悔なんてしねえ」
試験的にタイトル変えを行おうとオモイマッスル