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遊星VS大和ⅱ

「死ね」

 無慈悲な死の宣告と共に天井が槍となりて遊星へと襲ってきた。

「大気に渦巻く無尽の水よ――」

 遊星は呪文を詠唱し、腹に魔力を溜める。

「氷結の盾となりて人柱へなれ!」

 掌を床へと押し付ける。

 周りの大気が震え、急速冷凍されたように凍っていく。

 まるで遊星を護るように。

「ぐ、あああああっ!?」

 しかしそれでも氷結の盾を壊し、槍が遊星を貫く。

 無様に転がる遊星は、しかしタイミングよく起き上がり走ることにより真後ろから襲ってきた二撃目を避けることに成功する。

「ほう、流石は星隆学園の生徒だ。それなりの実力は持っていると言うことか」

 大和が感心するように呟く。

 遊星はこの状況に歯噛みしつつ頼りの綱を見る。

 女の子は部屋――ゴーレム――の掌で押し潰され、意識を失っていた。

 少女の掌には細い糸が垂れていた。

 恐らくは糸を操る魔術を得意としていたのだろう。

 遊星は掌から火を生成する。

 連続して火弾を飛ばす。

「消え、失せろおおおおおおおおッ!!」

 しかし、巨人は拳を一薙ぎしただけで火を消し飛ばした。

 掌の中の少女と共に、だ。

「嘘、だろ……?」

 遊星の本気の魔術が簡単に消し飛ばされた。

 心が折れそうになる。

 違和感が心にふと泥のようにへばりついた。

(なん、だ? この違和感は……)

 しかし、それを冷静に分析している暇は無い。

 遊星は足に力を入れ、走る。

「はっ、はっ、はっ」

 逃げ惑い、槍を、拳を間一髪の所で避けていく。

「レイン、コート!」

 蒸気の熱と光の屈折を利用した透明魔術。

 しかし――。

 槍が脚を貫く。

「が、あ!?」

 拳を頬を裂き、風圧で身体が傾ぐ。

 それでも遊星は停まらない。

 止まれば死ぬことを分かっているのだ。

「クソッタレが! 俺は、こんな所で死ぬわけにはいかねえんだよ!」

 壱が来てくれるまで逃げれば、いつか燃料切れになるまで逃げれば――そんな弱い思考が顔を覗かせる。

「ふざ、けんな!」

 吼える。

 いつまで逃げ続ければアイツを助けれる?

 壱は絶対に敵わない敵でさえ挑んでいった。

 どれだけ震えようとも。どれだけ拒絶されようとも。

 それに、押し潰されている女の子だって今どうなっているか分からない。

 遊星は膝を折った。

 膝は地面へと着き、さながら降参のポーズでもとっているかのよう。

「今度こそ、死ねええええええええええええ!!!」

 巨人の拳は自身の脚へとクリーンヒットした。

 岩に隕石がぶつかったような轟音と共に遊星は不敵に笑ってみせた。

「もう、逃げるのは終わりだ」

 巨人へと背を向ける。

「なにせ、攻撃はもう当たらないんだからな」

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