1日目:探り合いだけのプロローグ
公式企画用に書いてみました。
話の結末は決まっていますがいつ完結するやら(ぇ
最近、視線を感じる。
俺が所属しているグループとはまた違うグループの方から。
「一樹くん、どったの?」
そんな俺の様子に気づいたのだろう。
同じグループ――この高校に入学してから一週間くらい時間をかけて、なんとか見つけた、いわゆるオタクグループに所属する省吾くんが心配そうに声をかける。
「ああ、いや。なんでもないですよー?」
だけど俺自身の平穏のため、俺はすぐに誤魔化した。
ここは俺が自分らしくいられる場所……そこで余計な不安をぶちまけて、微妙な空気にしてしまうワケにはいかない。
「またまたぁ」
「バレバレだってば」
同じグループに所属する和也と大輔も気づいているようだった。
いやむしろそれなら俺が感じているのと同じ視線にも気づいてほしい。
でも、そう思う一方で……ここで正直に話しておかないと後々、友情とかに影響が出るような気がしたから。
「実はさぁ……」
そう正直に言いつつ後ろを指差した。
無論、後ろにいるグループに気づかれないよう気をつけて。
「後ろから視線を感じるんだ、最近」
「「「え?」」」
友人達は視線だけを動かして俺の後ろを見た。
そして返ってきたのは気まずそうな顔と声だった。
「いやぁ、気のせいじゃない?」
「そうそう、あまりにも世界が違いすぎる」
「ウチは底辺じゃないけどそれでも向こうと比べたら低めだよ」
「だ、だよなぁ」
そう言いつつ、俺は意識だけを後ろに向けた。
オタクグループであるこちらとは違って、なんとも華やかなグループ――ギャルなみなさんのグループに。
※
俺のいる高校の生徒はいくつかのグループに分かれてる。
ガリ勉達がいるグループや、スポーツ系の部活に入っている者同士のグループ、図書館に籠っているグループに不良グループなど、とにかくたくさんのグループがある。
そんな中で俺が所属するのはちょい明るめなオタクグループ。
昔はともかく現在オタクは世の中に受け入れられ始めているからこそ存在してるグループだ。
そして肝心のギャルなグループは。
俺達とは別方向に明るく自分磨きに日々邁進していたり恋愛経験が多かったりでなんというか俺達とは世界からして合わない集団だ。
故に俺には疑問しかない。
なぜ視線を感じるのかと。
まさかイジメのターゲットに選ばれたとかじゃないだろうか。
そういえばどこぞの動画サイトの漫画アニメには嘘の告白などという『オオカミ少年』の童話を読んだ事がないのかと、いつだったか思ったモノを題材にしたお話があったような……まさかそれじゃないだろうな。
だとしたらこれからは警戒しよう、うん。
※
「ビックリしたぁ」
「そりゃあんだけ見れば気づかれるっしょ」
「ていうか、あいつのどこが良いワケ?」
「話に付いていけない人種だから分からんだけど」
正直、心臓が高鳴った。
いや、恋愛的なドキドキよりも相手にバレるか否かの、あのスリリングな瞬間を味わった事によるドキドキの割合の方が今はだいぶ占めてるけど。
「確かにねー。キャラ変わった? みたいな感じだけどさ」
でもアタシは、めげずにまた後ろに視線を向けた。
小学生だった頃、アタシをイジメっ子から助けてくれた……けど長い年月の中でキャラが変わってしまったのか、勇ましいというよりは穏やかな雰囲気を出してるクラスメイト……一樹くんがいる方へ。