第四話 時計の守護者
「ツッ!?」
入った瞬間、辺りの空気が変わる。
チリチリと辺り一帯から刺すような視線と少し苦しくなるような緊迫感。
何かまずいと感じた私はバッと後ろに飛び退く。
ズダァン!!!
明かりがなかったこの部屋に赤い光が灯る。
そして周囲の壁にボッと明かりが灯って行く。
そうして照らし出された場所に見えたのはゴーレムというべき岩の巨人。
特徴的な場所といえば背中に大きな時計を背負っているというところ。
「ッ!?」
またしても嫌な予感を感じた私は咄嗟に横に飛ぶ。するとその巨体ではありえない程の速さで眼前へと迫るゴーレム。飛び退いた場所に腕が振り下ろされる。
その一連の動作が終わるとその巨体にふさわしいくらいの動作に落ち着く。
それと同時にガクンと背中の時計が1から2へと移動する。そしてまた高速で移動する。
だが今度はすこし観察させてもらおう。
「『タイム・−3』」
副作用も少なく、かつ確実に観察できるラインでの能力使用。
それによってゴーレムの速度が目に見えて遅くなる。だがまだ速い。速すぎるくらいだ。
それでも避けるのは容易だ。トッと軽く後ろに飛び退く。
そして、振り下ろされる。だが分かった。この振り下ろす瞬間。このときに肩の部分が手に移動する。だから一瞬そこが脆くなる。
それよりも。あの時計。あれが動くのはゴーレムの加速が終わったタイミング。そしてその後三十秒ほどゴーレムは動かなくなる。
だがその時に脆い場所はなくなる…
確実なタイミングにチマチマと削るか、少し博打に出るか…
そんなもん、答えは1つだ。
博打にでて、一瞬でケリを付けてやる。
そう考えた私は一度攻撃を躱し、背中の〈棺〉を開く。そして慣れた手付きで愛銃を組み立てる。そして弾を装填。そして使い終わった拳銃のマガジンを〈棺〉にはめておく。
「『タイム・−5』」
時間が止まる。完全に止まった0.5秒の間に右肩をブチ抜く。
時間が進み始める。だがまだ時間は余ってる。その間に〈棺〉から取り出した手榴弾を投げ込む。
爆発するまでの時間も惜しい。さっき〈棺〉にはめたマガジンを引き抜き拳銃に差し込む。
そして手榴弾へと弾丸を飛ばす。
「消し、飛べェ!!」
両腕を破壊した。
これで攻撃手段のメインはなくした。
ただ、このゴーレムはまだやる気のようだな。
さて、どう生き残ろうか。