第三話 時間の遺跡
あのクソ鳥を追い払ってから数時間とあいつが飛び去った方向へと歩みを進めると、割と新しい方の(それでもかなり古いが)遺跡を見つけた。
軽くスルーしようかとも思ったが、何か分からないが自分の中で“彼処へ行け”という思考が渦巻く。そうして気がつくともう既に遺跡へと歩みを進めていた。
中に入るとそこには異様な光景が広がっていた。
「これ作ったやつはどういう趣味してんだよ…」
地面は綺麗。ホコリは溜まっていたがまあかなり綺麗だ。
問題は壁と天井。歯車と時計が隙間なく敷き詰められており、私が中に入った途端ギシギシと音を立てながら回転を始める。そのまま前進するとすぐに壁に突き当たる。
「なんだ…?行き止ま、うおお!?」
奥についてから数秒。周囲の壁が突如として発光し始め、その後すぐにガクンと、足場が下に沈む。
そのまま入り口がどんどん上へと上がっていく。
ズン、と衝撃がしたかと思うと下降が止まる。
「一体なんだってんだ…ここにはそんな大仰な仕掛けで何がしたいんだよ…」
そう愚痴りながらあたりを見回す。すると広場に通ずる道があった。
「…行くしかない、か。」
そう腹を括って足を進める。
「なんかあるだろ…こんな大層な仕掛けがされてるくらいだし。」
足を進めるたびに思いが巡る。
始まりはただ力が使えるとかいうだけで差別してきて、挙げ句妹を殺したあの野郎共を見返してやる、いや復習するためだけに始めた旅だった。だが、ここを進むとそれがちっぽけに思えるほどの何かを知る、知ってしまう気がする。
いや、それでいい。足を進めろ。知は力だ。
この先に何があろうと、私はすべてを受け止め、生き残ってやる。