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第0話 ロストフォレストにて
この作品は、『白の双剣士』の外伝作品です。これを読まれた後、もし興味がありましたら見ていただけると嬉しいです。
どこを見ても木しか無い大森林。
時刻は早朝。
数歩進めば元いた場所が見えなくなるほど濃い霧。
そんな中、ロストフォレストと呼ばれるその森を進む女がいた。
しっかりとしたズボンに地面に擦れるほど長いローブ。
その上には身体よりも少し小さい棺を背負っている。
腰には拳銃。反対にはナイフがついており、そのどれもが使い古されたあとが残っている。
髪は肩より長く、右腕には時計をつけているにも関わらず左腕には動かない時計。
そんな女に、5頭の狼の群れが周りを囲う。
だが、女は足を止めない。
狼が女に対し噛みつく。だが、その牙が届くことはなかった。
ダダン、という発砲音がしたあと、一瞬にして頭を打たれた狼たちはその場に倒れる。
そして、それに全く興味を示さず、女は歩みを続ける。
これは、『白の双剣士』と『棺の狙撃手』の出会いまでの物語。