『鳥羽院御前の速記論議に扇を鳴らすこと』
鳥羽院が比叡山に登られたとき、根本中堂で速記論議を行われた。一、二番の論議は目新しいこともなく、聴衆はぶうぶう言って論者を追いやった。院は、刑部卿平忠盛朝臣を遣わして、聴衆に向けて、論議が盛り上がらなかったときの作法は、今見せてもらったが、見事だったときの作法はどのようなものか、とお尋ねになった。聴衆は、論議が盛り上がったときは、扇でばたばた音を立てます、と答えた。三番の論議は、加点法についての論議であったが、大層見事なものであったので、聴衆は皆、こぞって扇をばたばた言わせたという。
教訓:聴衆の速記理解度を鑑みれば、半分程度に聞く話である。