マジカルバナナ
in三波家
課題をやりながら、時折凝る肩に手でもみながら解き進める。そしてチラッと都子を見る三波
課題をやりながら、時折凝る肩に手でもみながら解き進める。そしてチラッと都子を見る三波
を
ガン無視で部屋に置いてある少女漫画を読む都子
三波「……」カキカキッ
都子「………」ペラッ
三波「…………」コキコキットントン
都子「……………」ペラッ
三波「……」ジッー
これがかれこれ二時間ぐらい続いて時計は丁度半分に割れるぐらいになった。
つまり夕方だ。帰るなら今だろう
三波「……ねぇ、あんたさ」
都子「……ん」ペラッ
呼びかけられるもベットから立ち上がるどころ漫画の次のページを開いている。
三波「……いつ、帰んの?」
都子「……一時間後」
三波「……そう」
よく―――幼馴染みは、よく心が通じ合っていて一言言えば相手が言いたいことがわかる―――だとか
―――二人の静かな空間が心地良い―――とか
言うが、そんな事は決してない
各々、課題と漫画に向き合う。
―――もう、終わってしまった課題を眺め
―――特に興味もない少女漫画を眺めながら
もう息苦しくて、二人は死にそうだった。
三波「……」ジッー
都子「………」パタン
三波「…………」ジッーーー
都子「……………」パタンパタン
もういい加減いいだろう。そろそろ動こう
三波「……ねぇ」
都子「……ん」
三波「………暇ね」
都子「……ん」
三波「ゲームでもしよっか……」
都子「いいよ……」
そして、……
都子「というわけで、マジカルバナナしようか」
三波「あなた切り替え早いわね」
都子「だってさっきの暗い感じ嫌だったし」
三波「分かる」
もう漫画は棚にきれいに片付けた。課題はカバンにぶち込んだ
彼女達を妨げるものは何一つとしてない
いざ、
『真剣勝負、開始』
三波「んじゃ、わたしから。マジカルバナナ!(小声)バナナと言ったら黄色(小声)」
都子「ストップ」
三波「なによ」
都子「なによがじゃないでしょ。普通にやってよ普通に」
三波「分かったわ」
三波「マジカルバナナ、バナナといったら黄色。黄色といえば?」♫〜(手拍子)
都子「あの夏の花」(手拍子)
静止。三波にとっては自分もさっきふざけたからしょうがないかと思ってる部分もあるのだが、突っ込まずにはいられない。それが、三波というもの
三波「おい」
都子「はい」
三波「ふざけ」
都子「ました」
三波「次は真面目にやってよね」
都子「ゥィッス」
都子「そこからなのね」
↓
三波「ひまわりといえば蜜蜂。蜜蜂といえば?」♫〜(手拍子)
都子「超危険性物」(手拍子)
三波「き、危険生物といえばゴキ○リ〜。ゴ○ブリといえば?」♫〜(手拍子)
都子「許されざる悪の根源にして、人類が絶滅させなければいけない種族。かつての人類の天敵にして、
(手拍子)
絶望
三波「もう無理よ」ort
都子「なんで?……」
三波「あなたの発想というか語彙力というかネタに脳がバクを起こして急停止するわ」
都子「……?バグ?」
三波「あなたがよ。というかこれ二人でやるゲームじゃないわよね」
都子「そうだね。じゃぁ誰か呼ぶ……」
三波「え?」
と言うわけで
「なにこれ!?」
都子「新キャラの三波の弟、健太君でーす……」
健太……三波家の長男。小学6年生で丁度、反抗期を迎えている。身長は147cmと都子とそんなに変わらない。姉にはいつも負けて泣かされている。
実は、都子といると胸が痛くてドキドキが止まらないと三波に相談して茶化された事で三波を無視している。(三波はそれを都子に相談したら自業自得と突き放された)
健太「都子ちゃん……はいいだけどよ。なんで、姉ちゃんがいるんだよ!」
三波「そりゃ、ここ私の家だし、都子の友達だからねぇ?」
都子「なぜ、こっちを見る……別に健太君と二人でやってもいいんだけど」
三波「ガーーン!!」
都子「いや自分でいうのか……」
都子「こういうのは多いほうが楽しい……だから我慢してね?」
健太「まぁ都子ちゃんが言うならしょうがないけど……」
都子「うん……ごめんね?えらいえらい」ナデナデ
健太はボッ!と顔を真っ赤にさせ頭に置かれた手を弾く
なっ!なっ!と言葉がでない様子の健太に頭を傾げる
都子に指を指し
健太「なっ!?や、や やめろよ!俺はもうガキじゃねぇ!」
都子「小6はまだ子供……だからお姉ちゃんに甘えなさい」
ジリジリと距離を詰める都子に健太は実の姉である三波に助けを求める
健太「な、なに言ってるだよ!あ、姉貴もなんか言ってやってよ!?」
三波「いいじゃないー健太もそっちの方が嬉しそうだしー?そうなったら都子の妹ちゃんは私のものかなー??ぐへへ」
都子「手を出したら……わかるよね??」\ゴゴゴゴッッッ!!!/
三波「はい、すみません」土下座
順番は三波→健太→都子という順番
『第2ラウンド、開始!』
そして、
三波(このゲームには……
必勝法がある!!!!)
全員「マジカルバナナバナナ!!」
それは、
三波「バナナと言ったら、フィリピン!!」手拍子
健太「うぇっ!?フィリピンと言ったら……国家!!」
手拍子
都子「国家と言ったら、大きい」
手拍子
三波「大きいと言ったら、アメリカ合衆国!」
健太「あ、アメリカ合衆国?……と言ったら、言ったら……」
三波「アウトー。時間切れー!残念だったわね!」
健太「ず、ずりぃーぞ!!!国名で攻めるとかそれでも人間か!?」
三波「べー!なんとでも言えばいい勝者こそがすべてなのよぉ!?悔しかったらなんか言いなさいよ!ベェベエヴァ~!!」舌ペロペロ
実に汚い。実に弟にする所業じゃないと思う都子。実際もう健太は涙目で眼力で殺さんと言わんばかりである。よしよしっとしようとする都子に気づき間一髪で避ける。
三波(上手く行ったわ!ナイス知識袋!!)
彼女がやったことそれは”国名”攻めである。それは”バナナと言ったら黄色”というオーソドックスを超えた”定石崩し”という技である。
三波「さぁ、都子後はあんただけよ?」
正直、負ける気がしない。調べてみてもこれに対策法っぽいものはなかった(てか、調べてまでやるやつなんて中々いない)
都子「……」
三波「あら?声も出せんないという様子かなー?潔く負けを認めてもいいのよ」
都子「ふっ……」
三波「っ!!」(都子が笑った。)
普段笑顔どころか無表情を貫く彼女が”笑う”という行為。それはつまり
都子「ここからは……真剣勝負……」
三波「っ!!……」
普段感じることのない殺気!
ーー都子は本気出すのだ。本気で三波を潰しにくる。負ける気がしない彼女でも感じる恐怖ーー
―――だが、
三波(そうこなくっちゃねっ!!!)
都子「さぁ……」
「「真剣勝負、開始!」
三波「バナナといえば!フィリピン!」
都子「フィリピンといえば国」
三波「国といえばフランス!!」
都子「フランスといえば……料理」
三波「料理……料理といえば中国!」(いける!いける……!!)
都子と三波は幼馴染み。そして事あるごとに二人は勝負をしていた。アイスのじゃんけんや鬼ごっこなど様々。
スポーツにおいて互角……いや三波の方が勝率が少し高いがことに運や頭脳が関わると9割……いや、ほぼ全敗の記録がある。だから負けられない!!
三波(勝ちたい!!!)
都子「料理といえば……ピザ」
三波「(キタッ……)ピザといえばイタリア!!」(勝った……)
三波「都子!これであなたの負けよ!初めての勝利ここにあり!」
そう思うほど完璧な返し。そう思っていた。
皆さん。2つほど言いたいことがある。
一つはこの”定石崩し”
奇襲であるからこそ刺さるのであって、策に陥った策士ほど弱いものはないのだ。
都子「えぇ、ここで終わりねあなたの」
そして、もう一つ。このゲームの必勝法を彼女も知っているということ
都子「イタリアといえば”ピザの斜塔”」
三波「なっ……」
三波がやった事が”選択肢の拡大化によるパンク”だとすれば
都子は”選択肢の消失”といえばいいだろう
現に
三波「(ピサの斜塔!?な、何がある!?塔である?いやそれはさっき言った!イタリア……じゃない!何か何か何か何か……」
都子「私の勝ちね……焦ったわね」
三波「くそぉ……」
都子「わかったんじゃない?このゲームに必勝法はないの。さっきのだって「斜め」とか言えたかもだけど一つ選択肢が消えるだけで人間は混乱して考えられなくなるの」
三波「……」
都子「さあ罰ゲーム……
三波(もう好きにしなさい……)
健太くんと仲直りしよ?」
三波「ぅぇ…‥?」
都子「罰ゲームよ……あなたがちゃんと謝るの……だからまたみんなで遊ぼ?……」
三波「……
うぅぅううぇぇぇん!都こぉぉx!!」
都子「ちょ抱きつくな……」
三波「も”う”離ざな”い”!!!」
都子「いや離して……てか早く仲直りしなさい?」
三波「ゔん”!!」
このあと、姉妹仲直り(ごめんなさい)して、三人でマジカルバナナを一時間ぐらい続けて、夕食を共にして帰った。
都子「じゃあね……」
三波「じゃぁーーーねぇ!!」
健太「また、また遊びに来てねぇ!!次は姉貴抜きで!!!いでぇぇ!nげんこつはやめろ!!」
ギャーギャー言い合う姉妹に都子はクスリっと笑い。
都子「うん。また遊ぼ」
夕焼けで笑う彼女はやっぱり可愛かった
朝4時ぐらいに徹夜で書いたのでどこかおかしいかも