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うつろのゆめ  作者: 狛ノ上緒都
夢編:第一話「子猫の家」
3/101

子猫の家 1-3


「鬼ごっこ!鬼ごっこがいい!」


相談が纏まったところで、教会の中からシャオランも出てきました。

私の真後ろでしたので、先に気づいた子供たちの表情はぱっと明るくなります。


「あ!シャオ兄!シャオ兄も鬼ごっこしよ!」


子供たちの中の女の子がシャオランに駆け寄りました。

様子を見に来たのでしょう。

シャオランは私の隣に並ぶように位置取り、屈んで女の子の頭をぐりぐりと撫でます。


「オレ休憩させて貰えるんじゃないんすか?疲れたっすよ」


「やぁーだ!シャオ兄も一緒が良い!」


女の子はシャオランに撫でられて嬉しそうでした。

微笑ましい光景を見ていると、女の子がこちらにちらっと目線を送ってきます。

私は微笑ましい気持ちでいっぱいになり、自然と笑みが溢れておりました。


「シャオラン、わたし鬼役務める。ゆえにシャオラン共に遊ぶ」


お願い、と言うように同じ色の瞳を見つめる。

シャオランの手を頭に置かれたままの女の子も、上目遣いでシャオランに懇願するように見つめていました。

シャオランは私と女の子の目を交互に見つめて、観念したようにがっくりと肩を落とします。


「わーかったっすよ!ほらほらチビ共!鬼のマオ先生に見つからねぇように隠れるところ探すっすよ!」


シャオランは女の子を抱き上げて肩車をしてあげます。

子供たちははしゃいでわーいと声をあげました。

私は結い紐で縛りにくく癖のある髪をまとめ上げます。


「各位逃走準備!カウント終了後、わたし動く!」


「おらー!散れ散れチビ共ー!」


修道服の袖を捲り、走りにくい格好ですが鬼のマオ先生の完成です。

シャオランと子供たちはきゃあきゃあ甲高い声を上げて、四方に走り出しました。


私は努めて大きな大きな声で数を数えて、10まで数えるとまずは辺りを見回して、青い空の下に広がる草原を走り始めます。


パーティのように毎日楽しいことがある訳ではありませんが、小さくて細やかな幸せのある教会兼孤児院。


それが、私の営む"子猫の家"の日常なのです。





第一話「子猫の家」終了。




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