子猫の家 1-1
獣の耳や尻尾を持つヒト。
ドラゴンのように鱗を持つヒト。
耳が尖ったヒト。
そんな少し不思議な人々が暮らすどこかの世界。
鮮やかな緑が生い茂り、どこまでも抜ける空の下。
街の片隅にある古い教会で"私達"は暮らしておりました。
教会の中で太陽の光できらきらと輝くステンドグラスが、御神の像を厳かに照らします。
荘厳な神の前に膝をつき、ロザリオを握りしめて私は祈りを捧げておりました。
「ねーちゃん」
頭部にある私の猫耳が、その声に反応して無意識に跳ねます。
立ち上がり、黒い修道服を翻しました。
身体の動きに合わせて、伸びる尾もしなやかに揺れます。
『シャオラン、何かご用ですか?』
声の主である彼は私こと、"マオ・シャオマオ"の双子の弟、"シャオラン"でした。
双子で揃いのアイボリーの髪にアイスブルーの瞳を持ちますが、性格は真逆。
現に彼はこの教会に勤めておらず、修道士の服も身につけてなければ神父でもないのです。
「チビ共がマオ先生とも遊びたいそうっすよ。教会兼孤児院なんて、ねーちゃんも頑張るっすね」
シャオランは呆れたように肩をすくめました。
ここは孤児院も兼ねていますが、シャオランが手伝ってくれるおかげで成り立っております。
きっと今も、子供たちとたくさん遊んでいてくれたのでしょう。
『わかりました、こんな暖かい晴れの日ですもの。子供たちもいっぱい遊んでほしいでしょうね』
私は頷き、シャオランに見送られる形で聖堂を出ようと扉に手をかけました。