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蒼雷の高翔  作者: 氷華 青
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作戦と英智

小鳥遊の声を後に、勢いよくネイビークラスを出る。おっと、《見つからないように》、だった。静かに階段を上がり、二階へ。パープルクラスは全滅したが、二階にはまだスカイブルークラスがいるかもしれない。しかし、二階は思ったより静かで、それよりも三階の騒音が耳に響いた。一応、スカイブルークラスを覗いてみる。八人程度いた。刹那、誰かが階段から降りてくる足音が聞こえたので、今いる三棟を離れ、二棟に渡ることにした。二棟には、ビリジャンクラスとアドバンスクラスがある。ビリジャンクラスのメンバーは、本当に少なかった。英語で、ア・フューで表せるくらいだ。対して、アドバンスクラスは、三十人弱いる。どうやら、戦っていて、終戦に近い様子だ。次にアドバンスクラスに目をつけられても困るので、早々に退散した。俺がネイビークラスを出てから、もう四分経っていたので、ネイビークラスに戻った。




「焔君、行っちゃったね」

「そうだね」

「私たち、どうしよっか?」

「とりあえず、焔君を待とう」

「じゃあ、その間は?」

「どういうこと?」

「えー、言わせるの、それ?うーん、やっぱいーや」

「何もないなら、大人しく待ってるしかないよ」

僕は、なぜ風花が赤面しているのかわからなかった。

その後、結局二人でクラスメイトのみんなのことについて話していると、

「戻ったぞ」

という声。

「おお、どうだった?」

「三棟三階でクリムゾンクラスとスカイブルークラスが交戦中、二棟二階ではビリジャンクラスとアドバンスクラスが交戦していたが、アドバンスクラスが勝ちそうだった」

「なるほど」

僕は、頭の中で考えを巡らせた。

「よし」

「作戦、浮かんだか?」

「うん。トランスミッション!」(5×対象、意思伝達)(青澤天、残り704点)

僕は、頭の中で巡らせたことを電波にして、二人に伝達した。

「こんなこともできるんだ、天」

「やってみたら出来たんだ。正直、僕も驚いてる」

「とりあえず、この通り動けばいいんだな?」

「うん。さあ、作戦開始だ」

三人で一斉にネイビークラスを飛び出し、二階へと階段を上がっていく。

「ニトロエンジン!」(5、移動速度推進)(焔煌輝、残り847点)

焔君は先に、戦場となっているクリムゾンクラス前にニトロエンジンで移動する。

一方、僕と風花はビリジャンクラスへ。閑静な廊下。どうやら、ビリジャンクラスは全滅したようだ。

「あ、ピンククラスの主力コンビ!」

見つかった。ここは逃げるしかない。僕の狙いはこうだ。焔君がクリムゾンクラスとスカイブルークラスを、僕と風花がアドバンスクラスを惹き付けて、渡り廊下で衝突させる。そして、どさくさに紛れてどちらも戦力が尽きそうになったタイミングを見計らい、止めを刺す。いわゆる、「漁夫の利」戦法だ。僕は風花の手を取り、ビリジャンクラスのドアのちょうど横の辺りに、背中をつける。風花も、僕に倣う。そして、壁に正電荷、二人に負電荷。ものすごい勢いで廊下の反対側へ行く。名付けて、テレボルテージ(5×対象,高速移動)。(青澤天、残り694点)

「信じられない!一瞬で廊下の向こう側に!?」

「追うぞ、潮!」

「了解、夕辺(ゆうべ)!」

追いかけてきたのは、アドバンスクラスのバドミントン部、潮と緋空(あかそら)君。潮はトリトン、緋空君はロキの力を使う。

そうそう、すっかり忘れていたのだが、僕らの能力にはいくつかの属性というものがある。そして、教科にもそれぞれ属性がある。たとえば、僕の場合、雷属性のゼウスの力は、偏差値の高かった英語二科目と社会二科目に由来する。そして、緋空君の場合は、国語二科目に由来する火属性がロキの力にほぼ直結しているのだ。そして、彼の国語の偏差値は、現代文74、古典71。桁違いだ。まともに勝負して、勝てる相手ではない。それでもまだ、アドバンスクラスのトップとまではいかないのだから、トップがどんなものなのか教えて欲しいくらいだ。




「オラオラァ、跪けぇ、てめぇら!」

「お前は、ピンククラスの焔煌輝!」

「どうしたよ、スカイブルークラス!手応えのての字もねぇじゃねぇか!デルフォイ・アポローン・アローズ(50,500)!」(焔煌輝、残り797点)

スカイブルークラスの残り人数は、五人となった。クリムゾンクラスも、残り六人と少数だ。

「焔!一対一で勝負だ!」

そう宣言したのは、クリムゾンクラスの月島(つきじま) (ひかり)だ。月島はアルテミスの力を持っている。これは、青澤の作戦に都合がいい。

「臨むところだ、月島!だが、ここでやるより、スカイブルークラスでやろうぜ」

「なぜスカイブルークラスなのかはわからんが、まあ、いい。その条件は呑んだ」

「それなら、移動だ」




敵残党はクリムゾンクラス六人、スカイブルークラス五人、ピンククラス三人といったところだ。対して、我らがアドバンスクラスは、二十八人。大差にも程があるだろう。雑魚が過ぎる。

「アドバンスクラス、浜辺と緋空を除く総員に告ぐ。これより、希望者三人で攻撃を行う。希望者は直ちに挙手!」

この場の俺を除く二十五人全員が、手を挙げている。分かりきった結果だが、その光景に思わずニヤつく。

「では、俺が直々に三人を選別する。砂田、姫路、そして俺だ。呼ばれた者は直ちにスカイブルークラスに向かえ!」

砂田と姫路は頷き、教室から飛び出していった。砂田(すなだ) 謎太(めいた)、クイズ部所属。一年生にして、その並外れた記憶力と知識でクイズ部のエースと呼ばれるまでになった。さまざまな現象や効果を司る、スフィンクスの力を持つ。姫路(ひめじ) 霊奈(れな)、アドバンスクラスの副室長で、霊魂の召喚を行うヘラの力を持つ。そして俺は、智楯(ちじゅん) 槍都(そうと)。アドバンスクラスの最高得点者で、アテナの力を持つ。さらに、最高得点者の特権として、アマテラスの力も持っている。しかし、アマテラスの力は、俺に応えてくれないのだ。

『僕には応えてくれるさ』

と、俺の知らない誰かが音のない声で言った。

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