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蒼雷の高翔  作者: 氷華 青
22/31

真相と再会

追憶は続く。

「姫路。頼む」

「うん。パストビジョン」

真相は、大変なものだった。暴走した兄の右半身が、燃え盛る。そこまでは、草野の主張と変わらなかった。だが、逆を言えば、そこからは違った、ということだ。


遡ると、開始直後に、兄は「限界到達」のポーションらしきものを飲んだ。その後、兄の眼は光を失い、右半身が燃え盛る。クラスの人たちは、そわそわしながら、教室に籠っていた。きっと兄が、再び過ちを侵さないように、自分からそう願ったのだろう。二クラス分の人数を、炎で一気に仕留める。あるクラスの中に入って、壁に当たると跳ね返る光線を大量に放つ。もう一クラス。兄の学年は、八クラスある。だから、あと三クラス。後ろに向けた掌から炎を出し、加速する。廊下に出てきていた生徒を全て、殲滅する。また光線を放つ。これで、アドバンスクラスは誰一人体力を減らさずに、バトルイベントに勝利した。右半身は、まだどうにもなっていなかった。ただ、燃えていた。しかし。その時の兄にはまだ、飽き足りなかった。点数がない生徒に向かって、炎を吹き付けた。が、その炎は掠るだけだった。誰かの風に止められたのだ。

「………なっ………!」

「智楯君、理性を保て。今、自分がやろうとした事を理解出来ているのか?」

「草野先生………!」

「飽き足りないなら、私がどれだけでも相手してやろう」

「俺は、責任取れませんよ?もう、理性が飛びそうなんだ」

「全てかわして、受け流す」

「やってやるよ………ブレイズサンシャイン!」

右腕の炎が高く燃え上がる。

「荊棘の捕縛!」

「くっ………」

兄の右腕に、荊棘が現れた。その後、高く上がった炎は、収まった。いや、荊棘を燃やすのに集中した。その証拠に━━━

「━━━うわぁぁぁあ!」

兄は、悶絶している。兄の右腕から、血が流れ出す。俺は、見ていて苦しくなった。バトルイベント規則第九条がなぜあるのかという答えは、ここにあるのだ。臨戦態勢であれば、システムが働いて、生身には何の危害も及ばない。しかし、敗北したり、バトルイベントが終了したりした途端に、生身の安全は保証されなくなる。

「相手は私を殺す気なんだ。正当防衛だろう」

兄の夕焼け空のような赤色の眼は、大きく見開かれていた。

『あの時、兄の右腕に刺さっていた荊棘の棘は、兄を出血させ、血管に炎を入れ込んだ。兄の炎は、筋肉で生成される。だから、皮膚や筋肉は火に強い。しかし、血管や骨は、常人と同じなのだ』

「そういう事か。じゃあ━━━」

『━━━ああ。兄を殺したのは、草野、ということになる』

「ぐっ………。うおぉぉぉお!」

燃え盛る右脚を、兄は蹴り出す。その頃には、右腕はほぼ灼け落ち、見るも無惨な姿になっていた。やめろ、やめてくれ。もうこれ以上やる意味がない!そう思ったが、やはり、過去の出来事を見ているだけの俺に、何も出来るはずがない。

「荊棘の捕縛!」

「うわぁぁぁあ!!」

「もう、やめてくれ………」

「ビジョンを止めますか?」

『いや、待て。兄の魂は、ここで止めることを拒んでいる』

「いや、大丈夫だ。もう少し観させてくれ」

「さすがにこれ以上はまずいか………。ここまでやれば、もう暴走することはないだろう」

草野は去り、右脚も灼け落ちた兄は、ただ廊下に転がっていた。五分ほど後、兄はバトルイベント後の見回りを行っていた春瀬先生に見つけられた。

『ここからは、お前が見た通りだ』

「ああ。姫路、ありがとう。もう止めていい」

「了解」


過去を見ていた俺たちは、思ったより長い時間教室にいたのかもしれない。時計の短針は、数字二つ分と少し、進んでいた。

「姫路、今日はわざわざ残ってもらって、助かった。じゃあな」

「うん。じゃあね」

姫路に帰ってもらった後、今日は静かに泣いた。

「草野………。あいつ、殺してやる………」

『まぁ待て。確かにそう思うのはわかる。僕だって、悔しいさ。でも━━━』

何秒かの静寂。その後、俺の前に、肉体が現れたのだ。明らかに、それは俺のものだった。その瞳は、兄と同じく、夕焼け空のように紅く燃えていた。

「━━━でも、お前が理性を失ってしまったら、元から理性のない僕は、どうすればいい?」

「お前………。そうだな」

「ところで、僕は今、この世界に存在できているのだが、どうなっているんだ?」

「ぷふっ。ははははッ。本人が分からないものを、俺がわかるわけないだろう?」

「そうだな。ははははッ━━━そうだ。いいものを見せてやる」

「うん?なんだ?」

「僕の魂の半分は、兄だ。だから━━━先ほどまで俺たちがその身体を半分こしていたように、今、俺とアマテラスの槍都はこの体を半分こしている」

「に、兄さん!」

「しかし、いつ戻らなければいけないようになるかわからない。思い出話をしている暇はない。それに、俺はずっと、お前と一緒だったから、俺の肉体が死んだ時からのお前の記憶は、俺の記憶でもある」

「兄さん。復讐をしよう」

「それは賛成だが、やつの身体に危害を加えないようにしよう」

「そう言うと思った。なら、計画がある」

「是非、教えてくれ」

「ああ。まず、決行は二学期中間テストで、━━━」




つるか『みんな、明日の練習、忘れてないよね?』21:05

Fuka『もっちろん!やっとみんなで合わせられるんだもん!』21:06

天『僕も、結構できるようになってきたから、すごく楽しみだよ』21:10

こころ『私も、頑張る!』21:12

村詩『なぁ、場所、どこだっけ?』21:15

つるか『ああ、そうだ。場所、伝えてなかったね。あたしの家でいい?』21:16

夕辺『それはありがたい。でも、スペースあるのか?』21:17

天『あるよ。すっごく広いスペースが』21:17

つるか『うん。天は前に二回来てるから、もう家がどこか知ってるんだ』21:18

夕辺『そうなのか。ありがとう』21:18

村詩『じゃあ、一回、天の家に行くわ。弦歌の家わかんねぇから』21:19

夕辺『俺、遠いんだが』21:19

村詩『なら、駅に集合しねぇか?』21:19

天『僕も、そう言おうと思ってたんだ。夕辺には、駅まで電車で来てもらって、それから歩いて行こう』21:20

村詩『俺たちは、駅まで車で行けばいいんだな?』21:20

天『うん、そういうこと』21:21

つるか『話、まとまったね。じゃあ、明日は頑張ろー!』21:22

村詩『おう!』21:22

夕辺『おう!』21:22

天『おう!』21:22

Fuka『おー!』21:23

こころ『おー!』21:25

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