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蒼雷の高翔  作者: 氷華 青
18/31

宿敵と頂点

「アネモイ・ウィンド(150,3000)!」(小鳥遊風花、残り586点)

「ガイアウォール(100,被ダメージ-1500)!駄目だ、光!あとは頼んだ!」(桐生大地、残り84点)

「わかった」

アネモイ・ウィンドが、桐生君の体を貫いた(桐生大地、残り0点)。


「小鳥遊さん。君もここで終わりだ」

桐生君が去った後、月島君はそう言って、カッターシャツのポケットから、見覚えのある瓶を取り出した。

「あなたも………!」

「いや、そうじゃない。寧ろ、君が持っていることがおかしいんだ。これは、スタンダードスターだけが手に入れられるはずなのに。まぁ、天が関係しているのだろうけど」

そして彼は、色的に見て「能力増強」であろう瓶の中身を流し込み、更に同じものをもう一本飲んだ。その後、私の知らない色をした瓶の中身を飲んだ。

「『体力倍増』。部屋の奥の方にあった。準備はいいかい?」

「ええ、いつでも」

「フェガロフォトアルテミス(250,4500)!」(月島光、残り1418点)

「アネモイ・ウィンド(150,3000)!」(小鳥遊風花、残り436点)

しかし、相殺目的のアネモイ・ウィンドも虚しくなるほど、月島君の攻撃は強かった。私は残りの瓶をアドバンスクラスに飛ばすことしかできなかった(小鳥遊風花、残り0点)。

「一つ、いいことを言っておくよ。きっと為になる。バトルイベント規則第十三条、『能力について、各生徒はこれを攻撃や防御、又其の他に使用するとき、自分のイメージに於いて、ある程度自由に使用してよいが、暴走させてはならない。これを犯した場合、退学処分とする』暴走するのは、『能力増強』、又は『体力倍増』の瓶の中身を一日以内に四本分以上飲んだとき。天にも言ってあげてくれ」

「わかったわ。でも、なんでそんなこと知っているの?」

「試してみたんだ、昨日。俺は、天のことはライバルだと思っている。だからこそ、退学処分になんてなって欲しくない」

彼の言葉には、嘘などないと思われた。昨夜は、眠ることが難しいくらいに、月が光り輝いていたから。




「青澤天。何のつもりだ?」

「やぁ、智楯君。君を待っていた」

こうなってしまった以上、風花から風で送られてきた「体力分与」は要らない。残りの「能力増強」と「体力回復」一本ずつをポケットに入れて、三本の「体力分与」を床に叩きつけ、粉々に砕いた。

「高天原の射光(15,300)」(智楯槍都、残り886点)

「オリュンポスシールド(100,防壁:ヒットポイント3000)」(青澤天、残り178点)(オリュンポスシールド、残りヒットポイント2700)

二本の瓶を一気に飲む(青澤天、残り828点)。

「高天原の煌炎(50,1000)」(智楯槍都、残り836点)

繰り出された豪炎を、オリュンポスシールドが断ち切る(オリュンポスシールド、残りヒットポイント1700)。

「真・雷霆スマッシュ(75,750、防御貫通)!」(青澤天、残り753点)

「高天原の陽炎(100,2000)」(智楯槍都、残り736点)

真・雷霆スマッシュは、相殺されるどころか打ち消され、高天原の陽炎は消えなかった。あれは、オリュンポスシールドでは防ぎきれない。とりあえず、避けることにした。テレボルテージミクロ(10,超高速移動)で、彼を抱えて窓ガラスを割る(青澤天、残り743点)。僕と外の地面に負電荷、智楯君に正電荷。思い切り彼を投げ落とすと、彼は電気の力で怪我がないように地面に貼り付けられた。エレクトログルー(5,拘束)(青澤天、残り738点)。そして僕は高翔する。ル・ヴォル・ブレケラヴノス(5,高翔)(青澤天、残り733点)。次にやるのは、絶対に避けられない分、精度や速度を全て無視して威力だけを高めた、天雷スマッシュ(100,2000)。そのはずだった。

「天!俺も入れてくれよ」

光の声だった。一瞬の迷い。そして決断。

「なら、先に光から」

撃ちかけた天雷スマッシュを、光に向ける(青澤天、残り633点)。

「アスピダ・ムーンライト(200,被ダメージ-4000)」(月島光、残り1218点)

僕は、彼の残り体力を見て、絶句した。勝てるのか?いや、勝てる訳がない。

「フェガロフォトアルテミス(250,4500)!」(月島光、残り968点)

「オリュンポスシールド(100,防壁:ヒットポイント3000)!」(青澤天、残り0点)

嘘だろ………?!オリュンポスシールドでも防ぎきれないなんて!

「か、完敗だ………」

「お疲れ、天。次も、勝負しよう。智楯は俺が倒す。じゃあな、俺のライバル」

「ああ」

僕は、彼にライバルと認められていることに、歓喜した。窓の外を見ても、智楯君はいなかった。そう言えば、遊撃部隊はやられちゃったのか。




危なく、逃げ仰せた。

『とりあえず、月島は強い。まずは、紺野が言っていた部屋を探そう』

「僕も同意だ」

『二棟は危ない。まずは一棟だ』

「今は交代した方がいいのではないか?」

『いや、ばったり出くわした時のために、直感のお前の方がいい』

「わかった」

一棟を探し回るも、何もなかった。

『二棟に行く時は気をつけろ』

「わかっている」

二棟を素早く通り過ぎ、三棟へ。一階、何も無し。二階、月島がいた。しかし、見つからずに三階へ。三階、怪しげな部屋発見。入って見ると、奥にドアがあった。確定演出だ。彫られた文字を見ると、『ギリシャの最初に賭けろ。15、14、12、25、空白、1、4、22、1、14、3、5』とあった。

『『ギリシャの最初』はアルファ、『賭ける』はベット。だから、アルファベットだ。数字はアルファベットの順番で、その通りに読むと『only advance』。アドバンスクラスのみ』

「ここで合ってるな?」

『ああ。できるだけ迅速に探せ』

「ああ」

「能力増強」、「体力回復」、「体力分与」、「体力倍増」、………。

『待て。一つ、気になるものがあった』

「どれだ?」

『「防壁生成」だ。これはお前には必要だろう?』

「ああ、そうだな。拝借しておこう」

『気になるものを持っていけ。体力分与などは、絶対に要らない』

「わかっている」

結局、持ち出したのは「能力増強」二本と、「体力回復」五本と、「体力倍増」一本と、「防壁生成」三本だった。それぞれ瓶の大きさが違うので、持っていくのが困難な物も簡単な物もある。例えば、「体力倍増」などは、結構大きめの瓶に入っているので、一本しか持ってこれなかった。「防壁生成」以外を一本ずつ飲む(智楯槍都、残り1802点)。

『技は、俺が提示した中から直感で選べ』

「おう」

それから、技をいくつか提示された。

その後、少し歩くと、見つかった。月島だ。

「よう、智楯。君で最後なんだ。さぁ、倒させてくれよ」

「そうはさせない。僕が負けるわけがない」

「フェガロフォトアルテミス(250,4500)!」(月島光、残り718点)

「防壁生成」の瓶を叩き割る。すると、もちろん防壁が現れた。防壁がフェガロフォトアルテミスから僕を守る(防壁、残りヒットポイント500)。更に、イメージを改めたアフターグロウ(150,4500)を撃ち込む(智楯槍都、残り1652点)。

「アスピダ・ムーンライト(200,被ダメージ-4000)」(月島光、残り18点)

「終わったな」

「まだだ!」

月島はそう言って、色からして「体力回復」であろう瓶の中身を飲む(月島光、残り1668点)。

「まだ、終わってない!俺は絶対に、君を倒す!俺のライバルに誓ったんだ!フェガロフォトアルテミス(250,4500)!」(月島光、残り1418点)

「いいか、そんなことはできる訳がない」

「防壁生成」の瓶を再び叩き割る。そして、先ほどから聴こえていた、『次の月島の攻撃を凌いだら、代わってくれ』という言葉通りに、僕はまた暗い水中に身を預けた。




フェガロフォトアルテミスは、放ったあとの反動が大きい。この距離なら、俺の槍は届く。こいつを今倒す為なら、代わってもらうしかない。

「次の月島の攻撃を凌いだら、代わってくれ」

どうか、届いてくれ。俺を、信じてくれ。俺たちの身体が、「防壁生成」の瓶を叩き割った。その後、深い水から、俺は引き戻された。行くなら、今だ。今を逃せば、敗ける。新たな技を。防がれない、最強の技を。

「アリスィア・ロンヒ・アテーネー(250,1500、防御貫通、回避不可)」(智楯槍都、残り1402点)

「うっ!マジか!嘘だろ?!」(月島光、残り0点)

「スタンダードスターがどれだけ頑張ったって、俺には勝てない。だが、いい戦士だ。お前も、青澤も。いつかこの定理が崩れて、俺が敗れた暁には、俺はこの学校を退学してやる。超えてみろ、自分たちの力で」

「ああ。早速次に超えてやる。だが、退学なんて考えちゃ駄目だ。君だって、俺の大事なライバルなんだから」

「いや、これはある人物との約束なんでね。残念ながら、今更変えることはできない」

「その約束、君を打ち破った後で打ち破ってやる」

「それは頼もしい。期待している。だが、俺は絶対に負けない」

『これより、ショートホームルームを開始するので、各自ホームルーム教室へ戻って下さい』

放送が流れたので、月島にクラスに戻るよう促す。彼は、去っていった。

『やるじゃないか、僕』

「ああ。俺たちは、二人で一人だ。もう、離れてはならない。協力すれば、こんなに簡単に勝てるのだから」

『そうだな。二人で一人、良い言葉だ』

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