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蒼雷の高翔  作者: 氷華 青
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神話と僕ら

現在の自分の高校生活にインスパイアされて作成しました!どうぞお楽しみください!

煌々と燃える炎。敗ける。そう、悟る。一人のクラスメイトは、嘲笑っている。

「結局、その程度か?笑わせんなよ。なぁ、立ち上がって見ろよ━━━」




「ねぇ、大丈夫?ねぇ、ちょっと、青澤君?青澤君!」

「ん?なんだ、小鳥遊さんか。まだ授業中じゃん」

「授業中だからこそ起きなよ。進学校の生徒でしょ」

こうして、隣の席の小鳥遊(たかなし) 風花(ふうか)さんはいつも話しかけてくれる。彼女は真面目だが、実は陸上部のホープでもある。100m走ではこの地方でトップなんだそうだ。

「そういう小鳥遊さんは、授業中寝たことないの?毎日走ってるのに、疲れるんじゃないの?」

「うーん、そういえば、そんなことないなぁ。まぁ、でも、私は夜10時半には寝てるからね」

「それはすごいね、僕だったらそんな時間から寝られないよ」

「おい、青澤!授業中だぞ!話を聞け!」

「はぁい」

今日も数学の紺野先生に怒られる、安定の日々。この一限目の怒声が、僕、青澤 天のサンチマンタリスムに現在完了形継続用法で影響しているのだった。45分の睡眠時間は、紺野先生に怒られてから眠れなかったので実質睡眠30分で終わり、次の現代文で寝ようと思っていたところに、ある男子が取り巻きを2人引き連れるというお約束体制で僕のところにやって来た。

「おい、青澤ぁ。お前なぁ、授業中うるせぇんだよ。点数もとれねぇ癖に、俺らの大事な数学の時間を邪魔すんじゃねぇ!」

思い切り机に叩きつけながら言うのはやめてほしい。彼は、うちのクラスの最高成績者で、サッカー部の(ほむら) 煌輝(こうき)君だ。こんな性格だが、正論を並べてくるので、誰も反抗できない。滅茶苦茶なことを言ってくるのなら、正論で返せるというのに。

「お前みたいなクラスの邪魔者はなぁ、こうなるべきなんだよ!」

僕は前から覚悟していた。それだけの心の余裕はあったのに、慌ててしまう。そりゃあ、制服が燃えちゃあね。

「ちょっ、何すんの」

「大丈夫だ、五分で消えるようにしてある。まぁ、五分間の熱さを味わうんだな!」

そう、彼は、火を出す能力を持っている。さらに厄介なことに、復元能力も持っているから、制服は五分で元に戻り、僕は文句を言えない。

「どうせお前は、『僕に能力がないからって偉そうに』とか、思ってんだろ?でも実際そうだろ?お前は体調不良でテストの日に休んだ。だから能力がねぇんだよなぁ?それも実力だよ、この無能がぁ!」

やっぱり僕は何も言えない。けど、明日は追試がある。その為に僕は、寝る間も惜しんで今日まで勉強してきたのだから。熱さを感じながら、できるだけ無気力を装った目で彼を見る。

「君たち、やめなさい!焔君、今すぐ消してあげるんだ!」

こう言ってくれたのは、学級委員の大河(おおかわ) 流雨(りゅう)君。彼は水を出すことができるので、焔君に対抗できる唯一のクラスメイトだ、今のところは。次のテストではまた誰かの他の能力が覚醒するかもしれないからね。

「無理だよ、そんなもん。俺はつけることしかできねぇから」

「まったく、しょうがない。青澤君、制服を脱ぎたまえ。その前に、トイレに行こう」

「分かった。ありがとう」

そう、制服といっても、ポロシャツで、僕はそれ一枚しか着ていないから、トイレで、僕は上半身裸になった。大河君は、脱いだ僕のポロシャツに水をかけ、火を消してくれた。そのうちに五分がたち、濡れていたポロシャツは焔君の復元能力で乾いた元の状態に戻っていた。僕はそれを着て、大河君にお礼を言ってから、机についた。本当に、復元能力ってのは便利なものだ。これだから文句を言えないんだ。

梅雨に入ろうとしているこの時期だが、もう教室のエアコンはフル稼働中だ。はっきり言って、直に当たるこの席は、寒い。快適とは思えない。ただ、僕の横の陸上競技の女神は、寒そうには見えない。おおかた、風を自由に操る能力で、快適なように調整してるんだろう。よし。現代文の授業中だが、現在はペアワークの時間。

「でさ、この表現の仕方なんだけど、って、青澤君、聞いてる?」

「うん?あ、うん、聞いてるよ」

やっぱり、恋だけじゃなく考え事も、人を盲目にするんだなぁと、最近気づいた。ノットオンリー、バットオルソー。

「じゃあ、私が何て言ったか、復唱できるよね?」

「も、もちろんさ、ははっ」

「じゃあ、どうぞ。みんなにも聞こえる声でね?」

「え、何で?」

「気づいてないの?青澤君、当たってるよ」

まったく、何でそんなことに気づかないのか。僕は一つのことにしか集中できないのに、会話に集中していた僕を紅谷先生がペアワークの成果発表のために当てるなんて。四十分の一だぞ、なんて運が悪いんだ。

「青澤君、早く発表してください」

「えっと、日本の文化と西洋の文化では、水についての感じ方が違うということです、よね?」

教室中が笑う。おい、質問に疑問形で答えて何が悪い。いや、撤回、肯定文で答えるべきだね。でも付加疑問だからギリギリセーフじゃ………って駄目か。

「まぁ、疑問形ですが、よろしいでしょう」

「やるじゃん、話聞いてたんだ」

横で小鳥遊さんはウインクをしている。

「まぁね」

本当は教科書をさっと見て、質問を思い出して、自分で考えて答えたら、たまたま小鳥遊さんと同じだったってだけなんだけど。僕はなんて運のいいやつなんだ。

次のペアワークの時間に、僕がさっき小さな決意を固めたことを小鳥遊さんに言ってみた。もちろん、ペアワークがちゃんと済んだあとの、余った時間で。

「ねぇ、小鳥遊さん」

「うん?何?」

「あのさ、寒くない?」

「うふふ、私はねぇ、風の能力を持ってるんだよ、知ってるでしょ?だから、エアコンの風をうまいこと操ってるの。気づかなかったでしょ?」

知ってた。

「やっぱり?そんなことだろうと思ってたよ。それで、本題に入るけど、その能力をさ、僕の方にも使ってほしいわけ。できる?」

「なんだ、知ってたんだ。当ったり前じゃん。特別に、君にだけは、この能力を使ってあげよう。ただし、条件があるけど」

「条件って?」

「はい、じゃあ、ペアワーク終了!発表に移ります!」

「また休み時間ね!」

「うん」

休み時間までは、本当にすぐだった。ペアワークもなかったし、十分間、寝ているだけでよかったのだから。うん?ノートの板書?そんなの後で写させてもらうに決まってる。#リアルタイムと、#板書は、僕の頭の中のツイッターで一緒に使ってもヒットしない。

「で、条件って?」

「えっと、名前で呼びあお!」

「え、それが条件?全然いいよ!快適な学校生活の為ならね」

「じゃあ、私のことはこれから風花って呼んでね!」

「えっと、僕の名前、知ってる?」

「うーんと、天気の天で……なんて読むんだっけ?」

「あまつって読むんだ。よろしく、風花」

「よろしくね、天!」

丁度チャイムがなった。まるで僕達の会話が終わるのを、ストーリーのスタートを待っていたみたいに。次の授業は、現代社会だった。現代社会といっても、政治でも経済でもなく、倫理。僕らは今、ギリシャ神話の世界を授業で聞いているのだ。これをみんなは「独り言」と言って興味を持たないのだけど、僕はしっかり、現代社会の橙田先生の紡ぐ神話の世界を体験していた。この街の人々は、みな学力に応じて何らかの力を持っている。不思議なことに、未だ理由は解明されてない。そして、その力は、神話の中の神の力をモチーフとしていることに僕は気づいた。例えば、火と再生の力を持つ焔君はアポローンとブラフマーだ。風を操る風花は、アネモイだ。他にも色々わかっている人はいるけど、割愛しよう。きりがないからね。明日には僕にも、みんなのように能力が開花するんだと思うと、夜も眠れない。いや、明日テストなんだから、寝ろよ。あぁ、最近ツッコミが多い。ボケに回った方が面白いのに、ツッコミが思いついてしまう僕の脳は都合が悪い。さて、僕の能力はどんなものだろうか。ゼウスだったらいいのに。焔君を雷霆で焼き払える。言っておくが、僕はサイコパスではない。

「と、いうわけでそろそろチャイムが鳴るので、『オイディプス』はまた次の授業で話します」

あ、終わった。やらかした。自分の他愛ない思考のせいで、『ホメロス』を聞きそびれた。僕は久しぶりに落ち込んだ。神話マニアにとって、これは痛い。

そして、その悲しみで今日は満たされた。

初の連載作品なので、起承転結がないですが、通してはしっかり起承転結の流れを作っていくので、次作もよろしくお願いします!

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