6:真相
「う・・・・・・」
俺は赤いワゴン車の中で目を覚ました。
どうやら寝てしまったのだ。
「やばっ、朝になっちまった」
今頃後悔してももう遅かった。昨日お願いした氷をもらいに行かなければ。
と思ったとき、携帯がなった。
「もしもし」
「三田さんですか」
アイスマンの社長のようだ。
「そうです。あ、氷のことですね」
「そうですそうです。出来たので、取りに来て頂いてもいいですか?」
心の中で、喜んでいる。
「はい。あの・・・・・・いくらですかね?」
ここが一番気になるところだった。
「良いですよ、良いですよ。刑事さんのお願いですし。これで殺人事件が解決するのなら」
俺は一瞬顔色を変えた。おかしい・・・・・・
「ありがとうございます」
平静を装ったが、社長の言葉のおかしな点を見つけてしまった。
「ではお待ちしております」
電話が切れた。
「なるほど、やっぱりな」
俺は、社長の発言のおかしな点を考え込んだ。
アイスマンの社長には、殺人事件のことなど一言も言っていなかった。
しかし、彼は殺人事件が解決するのなら、と何故か知っていた。
社長も、共犯だ。そう俺は思った。確信ではないが、この可能性にかけるしかない。
「社長を問いつめてみるか。今日受け取るのは、ただの氷だな・・・・・・」
俺は社長に何を問いただすか、整理した。
数時間後、社長から受け渡された氷は、予想通り極普通のものだった。
普通の氷が大きくなっただけのものだった。
とりあえず礼を言ったが、これから社長を問いただす。
「社長、これ・・・・・・偽物ですよね」
単刀直入に言った。
「何でですかぁ、刑事さん」
「あなたはさっきの電話で、殺人事件が解決するならと言った。私はね、殺人事件のことなど何も言っていないんですよ。どうしてです?」
「そ、それは・・・・・・」
社長は困り果てた様子だった。
「それは、ただ、警察が調べてるなら、殺人事件かと思いまして」
「本当ですか?」
「えぇぇええ・・・・・・」
汗を流し始めた。
「本当のことを言わなきゃ、あなたも共犯ですよ」
「そ・・・・・・そんな」
「如月真之介にナイフが差し込める氷を作るように、言われたんじゃないのか!!!」
俺は強気に叫んだ。ここで打って出なければ、相手は乗ってこない。
「えぇ・・・・・・あぁ」
「しらばっくれるな!」
「その・・・・・・えっと・・・・・・すいませんでした。嘘を、つきました」
とうとう社長は白状した。
ことの真相を、社長から話して貰った。
こういうことだった。如月真之介が話を持ちかけてきたのだという。天井にセットでき、ナイフが挟めるような氷を作って欲しい。細かい構造まで指示されたという。両サイドに細長い棒を立て、水滴が真下ではなくサイド方向に落ちるようにしたというのだ。作ってくれれば今後とも良い付き合いをすると言われたらしい。なんて計画的なのだろうか。後日、本当の氷を渡すと話した。
「やっぱりなぁ」
俺は車の中で決定的な証拠を握ったうれしさを表した。
「社長の証言と、氷さえあれば・・・・・・如月を逮捕できる!」
俺はそう、確信した。
その時だった。携帯が鳴った。この音楽は、浅野だ。
「もしもし、浅野か?」
「そうです」
やっと話すことが出来た。
「どうした?」
「川野の証言を得ました」
「どういうことだ?」
「川野を騙してみたんです。如月は逮捕された、だから小学校のときのことを全部話して欲しいって。そしたらですね」
「うんうん」
「如月裕也は、多田先生が殺される前日。クラス全員にこんなことを言っていたそうです。
完全犯罪は存在する、多田先生を殺す、って」
驚きのことに俺は仰天した。
「つまり、クラス中に・・・・・・俺が犯人だって言ったってことか?」
「そうです。他の人の話でも、そんなことを言っていたらしいんです」
浅野、でかした!と俺は心の中で思った。
「良くやった!俺もな、氷のことから如月が犯人だということを突き止めた」
「やったじゃないですか!」
「おぅ。じゃあ署で待ってる」
「分かりました」
事件は解決したんだ。犯人は如月で、父親も協力していた。
それで終わりだと、俺はそう確信していた。




