4:推理
俺と浅野は、殺人方法を偶然にも解き明かしてしまった。たぶん、この考えで良いのだろう。残すは、犯人を捕まえるだけだ。時効日は十二月八日。今日は十一月二十八日。まだ日にちはある。
「おい、浅野!お前は誰だと思う?」
「私ですか?えっと、んっと・・・・・・川野さん?なんか、怪しいです。恨んでいる人がたくさんいた、なんて言いませんよ普通」
「なるほどなぁ」
「で、春一さんはどうなんですか?」
「俺かぁ?俺はなぁ、あのクラスメイト全員だと思うぜ」
「はぁ?どういうことですかぁ?」
「今まで、いろんなとこに聞き込みしたけど。みんなおどおどしてた。そして挙げ句の果てには恨んでいた人はたくさんいた、で店じまいだ」
俺は誇らしげに言った。
「と、言うことはぁ?」
浅野は顔をひっくるめて覗き込んできた。運転に集中できない。
今向かっている所は浅野に内緒にしている。
「犯人を全員が知っているってことさぁ、隠し通している。つまりだ!」
いきなり俺が叫んだのを聞き、浅野はびっくりした。
「犯人は、大物ってことさ。言ったら殺される。そういう思いを持たせてるんだよ」
「なるほど・・・・・・ってことは、副学級長の田中さんかぁ!」
浅野は自分の手を叩き、納得したかのように頷いた。
「なんでだよ?」
「だって、彼女、すっごい美人だったから。逆らえないんじゃないんですかぁ?」
「違うよ、第一俺はその田中とかいう名前自体忘れてたよ」
俺はことごとく突っ込んだ。
「犯人はなぁ、如月だ。如月裕也だ!」
「へぇ〜」
やけに無関心だった。
「何だ、その態度はぁ?」
「だって、そんな証拠が無いじゃないですか」
「ん〜、確かに・・・・・・相手は政治家に科学者。こんな推理だけじゃあなぁ」
俺は頭を囓った。
「決定的な証拠ですかぁ?なら、川野さんに言って貰うってのはどうです?」
「川野に?十年間も黙ってたのに、そんなこというかよ!」
俺は完全否定した。
「私に良い考えがありますよ、彼を騙すんです。如月が逮捕されたから、あなたが知っていたということも分かりました。だからその時の話を聞かせて下さいって」
「卑怯だなぁ・・・・・・」
「黙ってる方が悪いんですよ」
「う〜ん」
俺はためらった。
「きっと、川野が言えば、他の人たちだって言いますよ」
今日の浅野はやけに積極的だ。何かあったのだろうか。
「でもなぁ〜。騙すってのもなぁ〜」
「隠してるのはあっちですよ!」
「隠してるかどうかも明確じゃないんだぞ」
「分かりましたよ、じゃぁ春一さんは別のことを調べて下さい。私は、この件に関して・・・・・・自力で調べますんで!」
浅野は車から出て行ってしまった。
「ちょっと待てって!」
呼び止めてもこっちを振り向かず、走ってどこかへ言ってしまった。焦って電話をかけても出てはくれなかった。
「何であいつ、あんなに積極的なんだ・・・・・・あ!」
俺は思い当たる節があった。彼女の弟のことだ。彼女の弟は嘘つきだった友人に金をだまし取られ、借金に追われる貧しい生活をしているのだ。嘘が、嫌いなのだろう。しかし、その嘘をばらすために嘘を使うのもどうか・・・・・・。まぁ後のことは彼女に任せよう。
俺は他に何か情報が無いか、調べることにした。




