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絵に描いたよう

作者: 東椰子実

先日、ある作家が朝のテレビで


軽いインタビューに応じていた


恋愛物をよく扱う彼女は


その人生も多才で多彩だった


一人目の夫と何気なしに別れた彼女は


その後、OLを辞めて


物書き一筋で喰えるまでになる


2年後二人目の旦那と出会い


現在は軽井沢に住んでいるらしい


彼女はどうやら田舎が好きならしく


逆に都会ぐらしは肌に合わないらしい



また人と少しズレたものを好み


烏の剥製や梟の模型など


趣味は至って偏っていた


彼女の二人目の夫は


元バーディンダー


家の中にはそれ専用の


バーカウンターと


一、二つのビリヤード台があった


彼女の趣味で庭には


西洋のような


艶やかな


季節折々の花が咲いていた



《絵に描いたような》


何てことは敢えていうべきではない。


彼女の仕事場には


しっかりとした深緑と


青い日差しが


よく似合っていた



外国へ良く行くという彼女は


番組の中で様々な国の景色を思い爆ぜる


向こうの建物の緻密さ


景色の美しさ


「やはり、田舎はいいですね」


ぽつりと最後に呟いたその言葉が


少し満足気だった



そこまで黙って耳を傾けていた


私は羨ましい限りだった


魅惑的な物々に囲まれた


透きとおった生活に


だからこの人の書く文は


濁り気のない


白か黒なんだと感じた




なんとも《絵に描いたよう》…





でも、あの時よくは分からないが


私は石切から生駒山を駆け抜ける


ある私鉄電車からみれる風景を


彼女に見せたいと思った


大阪のビルが乱雑に並ぶ


計画性も緻密性も


趣きすら


そこには無いけれども


何故か目を離すことが出来ない


一分間。


夜空の真下


人工の風光明媚




「都会の景色もなかなかいいもんですよ」


曖昧に笑いながら


そう弁解めいた言葉で


ただ濁してみたかった




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