モーニングコールは腹パンで
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魔法による俺の深い眠りは
「グッモトーニング!颯人さん!」
という軽い掛け声と共に訪れた腹部への衝撃により終わりを迎えた。
「グホァ!」
「はい!しっかりきっかり二時間経ちました!」
「は、腹が・・・・」
「しっかりして下さい。これから町へ向かうんですよ?」
「何で魔法で起こさなかった・・・・・」
「いや~、実は眠らせるや眠気を無くす魔法は使えても目覚めさせる魔法は無いみたいなんですよね~」
「何で起こす魔法が無いんだよ・・・・」
「必要無いからじゃないですか~?」
「お前なら作れるだろ?」
「二時間じゃとても無理ですよ」
「そんな簡単に作れる訳が無い、か」
「まあ、仮に出来たとしてもやってませんけどね」
「ならこの二時間は何をやってたんだ?」
「ナイフのケース作りと改良やらなんやらを」
「あれの、ケースとか作れるのか?」
「本体の皮革を使えば問題無いですよ」
「出来たのか?」
「ええ、それはもうバッチリと」
そうやって見せてきたのは二本の帯だった。
「それのどこがケースなんだ?」
「ああ、それはナイフをすぐに取り出せる位置に固定する為の帯です。ナイフを入れるケースはこっちの方です」
それは白いポーチの様な物だった。しかし、とても大量のナイフを収納出来る様なサイズには見えなかった。
「使わない分はこちらに入れて置けばいいかと」
「いや待てそんな小さいポーチにあれだけのナイフを収納出来る訳ないだろ」
「フッフッフッ、私を誰だとお思いで?」
「元広辞苑の魔導書」
「そうです、それに加え魔法を使う事が出来るんですよ?」
「それがどうかしたのか?」
「魔法を使って空間を歪める事位屁でもないってんですよ」
「空間を歪める魔法なんてあったのか!?」
「あ~、言ってませんでしたね。闇魔法は空間と精神に作用する魔法なんですよ」
「ん?精神に作用するのは黒魔術じゃないのか?」
「専門じゃないだけで闇魔法でも可能なんですよ」
「黒魔術意味無くね?」
「黒魔術の有能性についてはまた今度話すとして、闇魔法を使えば空間を歪めて見た目以上の収納スペースを作る事が出来るんです」
「結論魔法マジ万能って事でいいのか?」
「そんな感じで良いんじゃないですか?」
「何か曖昧だな」
「実を言うと私も良く分かってません」
「そんなんであんな偉そうな口調で話してたのか?」
「別に良いじゃないですか」
「つーかこれってアーティファクトじゃないのか?」
「そうでもないですよ。これ位のアーティファクトなら宮廷魔術師を十人程集めれば作れない事もないですよ」
「十分ぶっ飛んでるからな?」
「はっはっはっもっと褒めてもいいんですよ?」
「それは兎も角町に戻るから本になれ」
「ああ、流された。あ、一つお願いがあります」
「なんだ?」
「私に名前を下さい」
「自分で考えるのは?」
「厨ニっぽいので嫌です」
「贅沢な奴だな」
「そうです。私は贅沢なんです!だから名前を下さい!」
そう言って目をキラキラさせながら詰め寄って来る。って言うか物理的に光ってる。これはもうキラキラじゃなくてピカピカだな。
「目を光らすな眩しい」
「これが光魔法の力です!」
「わかったから離れろ」
「あ、どうせならこの世界に居ても不自然じゃない名前にして下さい」
「この世界の名前の法則なんて知らん」
「外国人みたいな名前のら良いじゃないですか?」
「んな適当な」
「早く、早く」
「そうだな・・・・・」
「ワクワク」
「一々口に出すな」
「了解であります!」
「・・・・・ソウスリー・ラーンでどうだ?」
「捻りが無いですね」
「他に考え付かんかったんだよ」
「まあ、嬉しいものは嬉しいんですけどね」
「うっし、出発するか」
「ご飯食べないんですか?」
「あんな不味い物食う気にならん」
「お金も無いのにどうするんですか?」
「そうだった金無いんだ忘れてた。しゃーない狼食うか」
「他の物は食べないんですか?」
「昨日一通り見て回ったけどゴブリンとオークとそこの狼の死体しかなかったわ」
「木の実とかを食べようとは思わないんですか?」
「探すのが面倒だ」
「さいですか」
「つー訳で本日も味付けしてないお肉です」
「お疲れ様です」
「と思ったけどポケットに入っていたカロリーメイトを食べます」
「何故昨日それを食べなかったんですか」
「夜に食う物じゃないだろ」
「そんなもんですかねぇ?」
「そういうもんだよ」
言いながらカロリーメイトをかじるが全く食べた気にならない。
「全然足りん」
「むしろ何故それだけで足りると思ったんですか?」
「狼を食いたくなかっただけ」
「我慢して食べたらどうですか?」
「しゃーない、焼くか」
適当に薪を拾ってきて火を着ける。パチパチと音を立てて燃え始めた。
「あー、調味料が欲しいー」
「魔法で作りましょうか?」
「いや、魔法で作った物は何となく食いたくないな」
「んー、そういうのは理解出来かねます」
「人間は非合理的な考え方をしてるからな」
「余所見してて焦がさないんですか?」
「多少焦げても問題無いだろ」
「神経質なのか大雑把なのか分かりませんね」
「その内分かるだろ」
「あ、焦げてません?」
「だから多少はだいじょ・・・・」
言われて肉を見てみれば真っ黒だった。
「やっべぇ真っ黒になってる。これは流石に表面を削がないと食えないな」
「だから言ったじゃないですか」
腰に差したナイフを引き抜き肉を削ぐ。完全に炭化していたのでナイフを当てるとボロボロと崩れた。
「良かった中までは焦げてない」
「ほんとに味付けしないで食べるんですか?」
「何も無いから仕方ない」
昨日の事もあるので身体強化を発動していたが必要無かった。
「んっ、柔い、しかも甘い、何でだ?」
「・・・・・・腐ってた、とか?」
「・・・・・・否定出来ん。これ以上は食わないでおこう」
「食事はどうするんですか?」
「ギルドの報酬に期待する」
「今日行って貰えるんですかね?」
「さあ?まあ、クロアが貰ってるだろ」
「自分でどうにかしようとは思わないんですか?」
「こればっかりはどうにも出来んだろ」
「今日から働かないといけませんね」
「いいからお前は本になれ」
「えー、でもそうしたら会話が出来ないじゃないですか」
「黒魔術に念話みたいなのはないのか?」
「ありますよ」
「だったらそれ使えばいいだろ」
「ジャックが怖いんです」
「そこはお前がどうにか対策しろよ」
「無茶苦茶言ってくれますねぇ」
「出来るんだろ?」
「ええ、出来ない事もないんですが」
「難しいのか?」
「流石に二つの高位魔法を使うのは辛いです」
「うーん、ならしばらく会話は無しだな」
「うー」
「この世界で人語を話せる生物を調べるまで待ってろ」
「ぐぅぅ、分かりました」
そう言うとラーンは本の姿になった。
「さて、気を取り直して町に戻りますか」
『あああ!待って下さいポーチに、入れないで下さい!』
「何だよ」
『ポーチの中に生物は入れたら駄目なんですよ』
「お前は本だろ」
『だから私はイレギュラーだって話したじゃないですか』
「ああ、そうだったなそれがどうかしたのか?」
『私は生物でも非生物でもないんです』
「何だそらつまり俺はお前を手に持ってないと駄目なのか?」
『そう言うことになりますね~。頑張って下さいね~』
「わーったよ」
俺は本を抱え直すと町に向かって歩き出した。
『あー、あー、テステス、聞こえますかー?』
(煩い脳内で騒ぐな)
『あー、これ位の音量でどうですか?』
(ああ、これ位でいい)
『いやー、やっぱりしんどいですねー。二つ同時に使うのは』
(だったら止めればいいだろ)
『私喋らないと死んじゃう病なんで』
(嘘を吐くな)
『全く一言も喋らないのは辛いんですよ』
(そういやお前の魔力は無限なのか?)
『まぁ、ある意味ではそうですね』
(そいつは羨ましいな)
『貴方も魔力の回復速度は化け物クラスですよ』
(どういう事だ?)
『そのまんまの意味ですよ』
(魔力を消費した傍から回復するって事か?)
『まあ、三割以上残っているという前提がありますがね』
(ふーん)
『ああ、まだ町に入らないで下さい』
(何でだ?)
『まだ話足りないんです』
(知らんしばらく我慢しろ)
『あっ、ちょ、ま』
「あ、いたいた。颯人ーあんたギルドから呼び出し掛かってるわよー」
「呼び出しー?何で俺が?」
「あんたステータスプレート貰ってないでしょ?」
「ステータスプレート?そんな物があるのか?」
「あるわよ。だから多分その事じゃない?」
「マジかよ面倒だな」
「貰いに行かないと冒険者として認められないわよ」
「うっわ有り得んだろ」
「文句言わないで行きなさいよ」
「金が貰えないのは死活問題だから行くしかないか」
今後の生活が懸かっているので仕方なくギルドに向かう事にした。
日曜日って週末ですよね?ね?ふとカレンダーを見てあれ?日曜日って週始めじゃね?って思った坂崎です。
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