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姫の気まぐれと今後の予定

俺は冒険者ギルドに向かおうとして気付いた。


「ギルドがどんな所かしらねぇ」


慌てて辺りを見回してクロア達を探す。幸いすぐに見付ける事ができた。


「なあ、クロア」


「ひゃい!」


突然声を掛けたためか驚いて裏声で返事をされた。


「あー、驚かせちまったか?」


「い、いきなり話掛けないでよ!びっくりするじゃない!」


いきなり以外にどうやって話掛けろと?まあそんなことは今はどうでもいい。


「冒険者ギルドって何処にあってどんな見た目してるんだ?」


「あんたそんなことも知らずに冒険者ギルドに行くとか言ってた訳?」


「煩いな、失念してただけだ」


「丁度いいわ。案内してあげるから少し付き合いなさい」


「何を手伝えばいいんだ?」


「あの姫様を教会まで送り届けるのよ」


「町に着いたなら護衛はもう要らないんじゃのいのか?」


「あのねえ、仮にも一国の姫なのよ?町中に一人で放り出してみなさいよ。あっというまに拉致されてしまうわよ」


「顔割れしてるのか?」


「あのお転婆姫よ、勝手に城下町に繰り出したりしてるに違いないわ」


「あー、確かにやってそうだな」


「でしょ?そんなのを町中に放置出来るわけないじゃない。きっと問題を起こすわ」


「そうだな。わかった付き合ってやる」


「助かるわ、一人じゃ抑えきれる気がしなかったの」


「しかたないさ。後先考えずに魔物の居る森を突っ切るような人だから」


「さっきから黙って聞いてれば随分な言い様ですわねぇ?」


「「何時からそこに!?」」


「顔割れしてるのか?って聞いた辺りからですわ」


「ほぼ最初からじゃねえか」


「どうせわたくしは後先考えないお転婆姫ですよーだ」


俺は隣のクロアに小声で話し掛ける。


(おい、姫様ご機嫌斜めだぞ。どうする」


(知らないわよ。あんたがどうにかしなさいよ)


(なんで俺なんだよ。半分お前のせいだろ)


(ああもう!何でこうなるのよ!)


(どうする?やっぱり食物か?)


(そうね、それしかないわね)


(でも今昼時でもないぞどうする?)


(おやつかしら?)


(どれにするんだ?)


(廻ってみて考えるわよ)


(俺はよくわからんからたのむぞ)


(まかせなさい)


「取り敢えず何か食べましょうか」


「ああ、そうだな」


「食べ物ぐらいでわたくしは釣れませんわよ」


「そう?なら私と颯人だけで廻ってくるわ。颯人、いくわよ」


「え?お、おい!」


「ま、待ってくださいな」


俺とスフィナは一人で駆けて行ったクロアを追いかける。


「おい、一人で勝手にいくなよ」


「そうですわ!わたくしを置いていくなんてどういうつもりですの?」


「あら、着いてこないんじゃなかったの?」


「一人は嫌ですわ!」


「そうか?一人は気楽でいいぞ」


「長期間一人でいる辛さを知らないだけですわ」


「一人でいるより、仲良くもない奴と同じ空間にいる方が俺は辛いけどな」


「仲良くなれば良いだけですわ!」


「それが出来れば苦労しない」


「そうね、どうしても仲良く出来ない奴はいるものね」


「そんな訳ありませんわ!人は誰とだって仲良くなれるはずですもの!」


「本当に人類が皆分かり合えたなら戦争なんて起こってないはずだ」


「そ、それは偶々意見が合わなかっただけですわ」


「お転婆なだけでなく頭の中がお花畑でもあったのか」


「颯人、諦めなさい。理解されることは無いわ。私達とは価値観が違うのよ」


「・・・・・そうだな」


「何ですの!何ですの!お二人共私の事が嫌いなんですの!?」


「いや、そういう訳じゃない。世の中にはけして分かり合えない奴も居るってだけだ」


「そう言う事よ。覚えておいた方がいいわ。これからもそういう人と会う事になるでしょうから」


「そんな事は・・・・・」


「分かり合えない奴は絶対存在する。皆が皆同じ考え方とは限らないからな」


「そうかもしれませんが、わたくしはそれでも皆さんと分かり合えると信じています!」


「そうかい、頑張れよ」


「ねえ颯人」


「なんだ?」


「あんた目的忘れてない?」


・・・・・・・・やっべ、本気で忘れてた。どうしましょ?結構キツイ事言っちゃったよ。絶対怒ってるだろうな、そう思いながら恐る恐るスフィナの方を見ると。


「絶対あの人とも分かり合ってみせますわ・・・・」


何か決意した様な顔をしていた。何を言っていたのか聞こえなかったが、怖いなぁ、俺反逆罪とかで殺されないよなぁ。今の内に逃げるとこ考えとこう。


「どうするのよなんか凄く思い詰めた顔してるわよ」


「知らん、俺はもう知らん」


「丸投げする気?」


「勿論だ!」


さっきからずっとブツブツ何か言っているけどもう知らねー。


「取り敢えず冒険者ギルドに案内してくれ」


「いいわ、その代わり私も一緒にいくわ」


「なんでだよ」


「この仕事が終わったら学校に戻らないといけないんだけど戻りたくないからよ」


「学生なのに仕事してるのか?」


「課外実習みたいなものよ」


「それで?何で俺についてくる事になるんだ?」


「あんたとは気が合いそうだからよ」


「ついてくるのは構わんがどうなっても知らんぞ」


「馬鹿にしないでよ。そう簡単にはくたばらないわ」


「お前は世界が滅んでも死ななそうだもんな」


「どういう意味よ!」


「そのまんまの意味だよ」


「あの、お二人共わたくしを教会まで警護してくれますのよね?」


「ええ、教会までは警護してあげるわ」


「そこから先は警護してくれないんですの?」


「仕事はそこまでで終わりだもの」


「なら!わたくしも旅に連れていってくださいな!」


「何でそうなる」


「お城に戻っても暇なんですもの。毎日の生活に刺激が欲しいのですわ」


「そんな事言われてもなぁ、一国の姫を連れ廻すのはなぁ」


「その事に関しては心配ご無用ですわ」


「どういう事だ?」


「お父様には、勇者様の旅に連れていってもらうと言っておきましたの」


「ほう、それで?」


「別に戻らなくても問題ありませんの!」


「なら宣言通りに勇者について行けばいいだろ」


「こちらの方が楽しそうですもの!」


「クロアどうする?」


「私に言われても知らないわよ」


「で、どうするんだ?教会には行くのか?」


「勿論ですわ!」


「教会までは送るけどその後私達はギルドに行くわよ」


「なら先にギルドの方へ行けばいいのですわ」


「だめだテコでも動きそうにないぞこいつ」


「もう説得は諦めましょう。気が変わるのを待つしかないわ」


「そう簡単に気が変わるとは思えんが」


「あんたはしばらく資料館に籠るつもりなのよね?」


「無論そのつもりだが?」


「期間は?」


「量にもよるが一週間位だな」


「それだけあれば気も変わるでしょ」


「わたくしを甘くみてもらっては困りますわ」


「あー、無理っぽいぞ」


「もういいわ、一先ずギルドへ行きましょう」


「あー、偽名考えた方が良いかな?」


「そうね、あんたみたいな名前は珍しいもの」


「やっぱりかー。まあ、クラスメイトだった時にバレずにすむからいいか」


「見えてきたわ。あれが冒険者ギルドよ」


クロアが指差す方を見るとそこにはRPGでよく見るような感じの大きな木造の建物があった。俺は偽名を考えながら戸を押した。

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