馬車での不幸と最初の町
俺の知らない地名がある世界が俺の居た世界なんけがない!
という訳で異世界です。はい。どうしてこーなった。取り敢えず元凶っぽい少女に説明を求めた。
「最近この世界の魔物の動きが活発になってきてるの」
「へー、それで?」
「そこで教会が異世界から勇者召喚を行う事にしたらしいの」
あれ?なんか嫌な予感。
「それでそこの娘がそれを見に行こうって言い出して護衛集めて森を突っ切ろうとした所さっきのゴブリンの群れに襲われたの」
「アホなのか?」
「少なくとも魔物の居る森を突っ切ろうと思うくらいにはね」
「そのアホのせいで襲われたのは分かったが、何故俺が召喚されたのかが判らん。護衛集めてたなら問題無いはずだろ?」
「予想以上に数が多かったのよ。だから開発中だったオリジナルの召喚術の魔法陣に教会の魔法陣で足りない部分を補って一か八か試したのよ」
「教会は魔法陣なんて公開してんのか?」
「そんな訳無いじゃない。資料を盗んできたのよ」
「え?お前犯罪者?」
「そういうこと。まだバレて無いけどね」
「バレなきゃなんとやらか」
「まあね♪それで、あんたは私に異世界から召喚されたのよね」
「話を聞く限りじゃな」
少女の話を要約すると、魔物が活発になってこの世界の人類が危ない!教会がそうだ、異世界から勇者召喚しよう!となる、隣の少女が勇者召喚見に行こう!森に突っ込む、ゴブリンの群れに襲われた!召喚術でどうにかしよう!俺召喚される!の流れのようだ。
「何かこっちに来てから変わったことはある?」
「俺自身には特に何も無いと思うな」
「気付いて無いだけかも知れないわね。ちょっとまってなさい」
そう言うと少女は紙を取りだし何かを書き込み始めた。
「何やってんだ?」
「まあ、見てなさい。っと、出来たわ」
「何だその魔法陣みたいなのが書かれた紙は」
「取り敢えずこの紙の魔法陣にあんたの血を塗りなさい」
そう言いながら魔法陣の書かれた紙と針を俺に渡してきた。俺は言われるままに針で親指の先を傷つけ血をだしそれを魔法陣に塗ると突然紙に文字が浮かび上がってきた。
「うおっ、文字が出てきた」
「ん、ちゃんと出たわね。あんたこの世界の文字読める?」
「んー、なんか知らんが読めるぞ」
「文字は同じと考えていいのね?」
「いや、全く違うぞ」
「何で読めるのよ」
「いや、俺に聞かれても知らんし」
「まあ、いいわ。取り敢えず紙を見せて頂戴」
「ほれ」
紙に書かれていた内容はこうだ。
ーーーーーーーステータス一覧ーーーーーーーーー
名前 白崎 颯人 (しらさき はやと) 17歳 男
種族 人間
職業 博士
体力 540
魔力 620
筋力 37
敏捷 42
知識 4857
精神力 780
魔法適性
火 水 風 土 光
技能
鑑定 魔法原理解析 魔法開発 思考加速 弱点解析 完全記憶
魔物食料化
魔法
身体強化 物質強化「派生 物質硬化 物質軟化」 フレア
ウォータークレント ブリーズ デルヴ ライト
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こんな感じだった。
「知識以外は大体一般人と同じね」
「平均は幾つなんだ?」
「体力が500、魔力が400、筋力は50、敏捷が40、知識が200、
精神力が420ぐらいよ」
「筋力に関しちゃ一般人以下かよ・・・・・」
「まあ、まだ伸びしろはあるだろうから頑張りなさい」
「なあ、魔法ってどうやって使うんだ?」
「そうねえ、強いて言えばイメージ?」
「何故に疑問形なん?」
「ほとんど感覚だからよ」
「つまり?」
「練習しなさい!」
「ですよねー」
「それであんたこれからどうするの?」
「どうするもなにも町に行かないとどうにも出来んだろ」
「じゃあ折角だし乗って行きなさい!教会のある町まで送ってやるわ!」
「教会のある町?それってお前らの目的地か?」
「そうでもなきゃ乗せないわよ」
「呼び出しといて無責任だな」
「うっ・・・悪かったわね無責任で」
「逆ギレすんな。そんな事よりその町に資料館みたいなのはあるのか?」
「あるけどそれがどうかしたの?」
「この世界の歴史と地理を把握しときたいんでね。ついでに魔法についての情報が手に入れば儲けもんだな」
「歴史なんて調べてどうするの?」
「過去に同じ様な事がなかったか確認する」
「じゃあ地理は?」
「興味があるから」
「じゃあその町にあんたを置いていっても問題無いわね?」
「べつにいいぞ。勇者がどんな奴か気になるしな」
「そうそう、勇者召喚はある一つのまとまりごと勇者一行として召喚されるから見ただけじゃ判らないわよ」
「まとまりってどんな感じのまとまりなんだ?」
「学校のクラスとかよ。教会の魔法陣を一部使っていたからあんたもそのまとまりの一部だと思うわ」
「じゃあ皆もう召喚されてるのか?」
「いいえ、召喚完了は二日後よ」
「じゃあなんで俺はここに?」
「多分私が召喚術を行ったせいね」
「ここからその町までどのくらいだ?」
「残り半日くらいね」
「結構あるんだな」
「森が無駄に広いだけよ」
「冒険者ギルドとかはその町にあるのか?」
「もちろんあるけど、どうして?」
「ギルドに登録して世界を巡ってみる」
「ギルドに登録するなら資金面は問題無しね」
「心配には及ばねえよ」
「じゃあ、出発しましょうか」
それから町に着くまでにそれぞれ簡単に自己紹介を済ませた。
どうやら俺を召喚した少女はクロア・フェルリアというらしい。
ついでに勇者召喚を見に行こうと言い出した方の少女は隣の国であるフレリヴナ王国の姫様のフレリヴナ・フィン・スフィナというようだ。一国の姫なのにお転婆過ぎんだろ。ついでにゴブリン相手に拷問を繰り広げていた隊長さんはガルマ・グラマーと名乗っていた。部下も自己紹介していたが馬車の揺れで酔ってそれどころではなかったので聞いてない。
「死ぬ・・・・・」
「馬車位で情けないわねぇ」
嘲笑うように言われたが反論する気力が残ってなかった。頼む早く着いてくれ、これ以上もたん・・・・・。結局町に着くまでもたず、町に着くまでに二回ほど胃の内容物をリバースしていた。
「くそ、喉がいてぇ」
「二回も戻してたものね」
取り敢えず町に着いたので冒険者ギルドを目指す事にした。