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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十一章”  遂に揃うレジェンドストーン 光と闇の戦い(上)
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乱れた世

 もしかしたら、凜子はもう神となっているのかもしれないわね。涙を落としたとき、人の命を散らしてしまうと言う悲しい神。凜子がいつでも笑っていたのは、そうゆう意味があったのね。それを知らずに、私は何ということをしてしまったのかしら。

 そして私たちが現れたせいで、凜子は狂ってしまう。だから人間達を殺してしまったのは、私たちと言っても間違ってはいないと言う訳ね。最初から分かり合おうとすれば出来た筈なのに、気付けずに罪なき人の命を奪ってしまった。

「そうだったのですか。苦しんでいらっしゃったのですね? 神がしっかりしないせいで、幸せになるべきであった貴方を苦しめてしまったのですね? そして、古い神を消し去ってしまおうとお考えに」

 凜子の苦しみに触れて、私も羅刹も簡単に説得されてしまったわ。まどかを殺す前に、凜子の話を聞いてあげていれば。悲しみを分かってあげていれば。

 ちょっと待って? あのとき、凜子は魔王の姿を化していた。どうゆうことなのかしら。ありえる可能性としては、恐らく二つね。

 一つはあのとき凜子は意識がなく、体を魔王に乗っ取られていたということ。凜子が魔王を名乗り地獄に足を踏み入れたことがあるならば、奴が宿るかもしれない。それだとしたら、凜子の体は蝕まれて行くかもしれない。いや、ステッキが拒絶反応を示さなかったのだから少なくとも今はもういない。

 もう一つは、私の幻覚だったということ。凜子が行う非行を見て、嫌な記憶が蘇ってきた。そしていつの間にか、奴と凜子の姿を無意識で重ね合わせていた。相当あのときの私は乱れていたから、その可能性だって十分にありえる。

 前者だとすれば、現在奴の魂がどこにあるのか探さなければならないわ。地獄が逃げ出したということになるもの。奴は何をするか分からないから、相当急ぐ必要があるわよね。

 後者だとすれば、それが凜子の話を聞くのが遅れた原因。私が魔王という名前に囚われて、凜子の気持ちを分かってあげられなかった。所詮私は神ではなく、人間程度であったということになる。クズのような魔王に会ったが故に、魔王という名前を恐れてしまう。

「古い神たちは、可笑しな考えの元動いているから。妖精に仕えなくちゃいけないのも、不平等だなって思ってた。それでも大人たちの魔物に対する扱いはあんまりだった。救いたい、救わなきゃいけないって思ったの」

 本当に凜子がいい子過ぎて辛いんだけど。そんなこと言われたら、私が悪者な気がしてくるじゃない。不平等な世界を直すことが出来ない、私もその古い神の一人ではあるのだし。その神たちの考えを共有したいとは微塵も思ったことがなかったけれどね。

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