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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十章” 花とリボン 光の魔物召喚
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不平等さと罪

 勿論そんなもの、許されるような行動ではない。どんな理由があったとしても、絶対に許されていい行動ではない。

 神にだって犯罪はある。神にだって罪はある。神にだって罰はある。

 そしてその中でも、かなり重い罪に入ると思うわ。詐欺、その行為自体神の中ではかなり重い罰が科せられる。それよりも、大神様の名前を使うと言うのが問題なんだわ。大神様を愚弄する、それはつまり全神を敵にするということ。

 それに、妖精を騙したとなれば……。むしろ妖精を傷付けたら、それだって十分な罪だわ。

 贔屓したり、不平等になったり。それはきつく取り締まっている。どんな生物相手にも神は平等に、それを皆大切にしている。不平等なことはしていけない、そう言われているが。

 妖精は大神様のお気に入りである。

 大神様はいいんだ。とか、妖精は可愛いじゃん。だとか、そんな理解不能な理由で許可されているの。他の種族はともかく、妖精を傷付けることは許されないわ。たとえ神であっても、妖精に罰を与えることは安易に出来なかった。

 そして妖精は人間の上に立つことになった。神以外はすべて並列であるべきだと言うのに、妖精は明らかに優位な位置にいた。それを疑問にも思わず、人間達は妖精を崇めていた。

 可笑しい。そんなの可笑しい。そんなの可笑しいと思い、私は人間を救おうとした。しかしそれは人間を贔屓していると言われ、私が罪に問われた。


 よく考えてみれば、いい意見かもね。私も支持してみようかしら。

 古い神を消し去り、新しい神になる……か。確かにそれだって、平和へ繋がるかもしれない。よく考えてみれば、凜子を倒す必要なんてないのかもしれない。

 だって、”私と同じ”だから。

 恐らく凜子は人間だと思うわ。あんな容姿の魔物だなんて、そんなもの聞いたことないもの。普通に人間の少女なんだと思うわ。

 そしてきっと彼女は、どこかで魔物と出会ったのでしょう。魔物の悲しみに触れ苦しみに触れ、助けたいと願った。どれだけ自分たちが醜いかを知って、美しくなりたいと願った。だから人間を捨て、魔物として生きることを選んだのね。

 その行為により、いかに憐れまれようとも。いかに蔑まれ、軽蔑の眼差しを向けられようとも。彼女は低い立場にいる魔物を救い、美しい存在になりたいと願ったのでしょう。その為に力を手に入れ、間違った奴らを消し去ろうと考えた。

 ならば私は、彼女の邪魔をしてもいいのだろうか。一度は破れた夢、もう見ることも許されないと思っていた夢。その為に彼女を傷付ける覚悟があるならば、私は彼女を支持したいと思った。

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