背後の妖気
「陽香お姉ちゃん、おはようなのです」
私が座って考えていると、まどかも目を覚ましてしまった。
「おはよう、さあ急ぎましょう。せめて、新しい町が滅ぶのを止めるくらいは、しないとよね」
私が、守るなんて…。そんなことを言っていること自体、信じられないわ。
「はいなのです。まどかたちが、守るなのです」
そう言って立ち上がろうとするまどか、しかし…。クソ…!どうゆうことよ。まどかの後ろに、妖怪が見えた。
取りついている、のかしら。それもたちが悪い、少しずつ体力を吸い取るタイプだわ。
そうゆう奴は完全に体に入っちゃうから、追いだすことが困難なのよね。取りつかれた側の体に負担を掛けずに、追いだすことなど不可能なくらいだわ。
まどかみたいな少女じゃあね、正式なお祓いをすれば死にはしないだろうけど…。
「ほら、何をしているの?早く行くわよ」
「早く行くなのです。でもなんか昨日に比べて、体が重い気がするなのです。陽香お姉ちゃんは、疲れてないなのです?」
そうか、体が重いだけなら疲れと取ってしまうわよね。人間に妖怪は見えないし、明らかに不自然なら気付く。そうゆうのも、このタイプの妖怪の悪いところ。
ああ、やっぱり寝るんじゃなかったわ。どうして私は、あんな危険な所で眠ったりしたのだろう。それも最初の時点で、まどかも無事とか思ってしまったし。
でもそんなはずないじゃないの、暢気に外で子供が眠っているのよ?妖怪にとって絶好のエサ、美味しく戴かれちゃうわよねえ。
「疲れているわ、だから早く街に行きたいんじゃないの。またこんなところで野宿なんて御免だわ」
私はまどかが心配だったから、早歩きでさっさと歩いて行った。
「陽香お姉ちゃん、どうしたなのです?早いなのです」
ええわざとそうしているのよ、体が重いと言われているからね。そりゃまあ、早歩きして貰わなきゃ困るわ。
「だから言っているでしょう、急いで行くわよ」
「えっ、あっはいなのです。でも何か、追いつけないなのです」
まどかは一生懸命走ろうとしている感があったが、普通に歩く程度のスピードだった。このままじゃ、体力は持たないでしょうね。さて、どうしましょうか。