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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十章” 花とリボン 光の魔物召喚
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戦乱の中

 羅刹の言い方に、凜子は少し驚いたような表情を見せた。

「今度は、貴方を正しい場所に戻して差し上げましょう。ふふっ」

 笑顔で羅刹はステッキを構える。私もステッキを構えた。それに合わせて、光の魔物たちも構えた。

「それじゃあ、私は抵抗させて貰おうかな」

 凜子も笑顔で呪文を唱え始める。それに合わせて、現れた闇の魔物たちも呪文を唱える。

「今です。行きましょう。皆さん分かっていますね? 闇の魔物たちも殺めたりしてはいけません」

 羅刹の指示で一斉に動き出す。光の魔物と闇の魔物の力の差は歴然。殺さないよう手加減しながらでも戦えるでしょう。

「二対一なら戦えるでしょう。行きますよ」

 今回はその言葉の否定もない。二対一ではなく二対二だ! そんな言葉は聞こえてこなかった。

「神はその程度か? もっとしっかりしろよ」

 最初は手加減をしながら戦っていた。でも、しっかりしろと言われてしまう。そう言われてしまっては、本気で行くしかなくなってしまう。


 我武者羅に、何も考えずに私は闘った。そして気が付くと、凜子も羅刹も倒れていた。魔物だって、光も闇も全ていなくなっていた。

「え……、嘘でしょ? 皆、大丈夫よね」

 もしかして全て殺してしまったのかも。そう思って私は怖くなった。

「ああ、嘘だぜ。大丈夫さ」

 そんな声が聞えてくる。驚いて、私は声のした方を見る。そこには、凜子が立っていた。

「どうした? そんなに乱して、心に隙を作って。嘘も見抜けないなんて、落ちた神め」

 その通りだわ。心に隙を作ってはいけない。いついかなるときも、冷静さを保っていられないとよ。これだから私は未熟なんだわ。

「落ちたのとは違うわ。逆ね、まだ登っていないの。若くて未熟な神だから、これから上がって行くのよ。勉強になったわ。ありがとう、感謝するわね」

 まだこれから上がっていける。いくらでも、私は上がっていけるわ。ここで魔王を救うのも、一人前になる為のいい経験だわ。

「そうか。なら、私と一緒に上がって行こう。そして、私と一緒に大人になろう」

 優しく微笑む凜子。いくら未熟と言えども、そんな言葉に騙される訳ないじゃない。少し馬鹿にし過ぎじゃないかしらね。

「ええ、そうね。貴方と一緒になら、私も成長できる気がするの」

 そんなことを言いながらも、私は魔法を溜めている。会話していることで、少しでもそれに気付かせまいと努力しているの。

「では、僕のことは捨てるのですか? 姫神様」

 羅刹の声が聞えた。と思ったら、凜子は吹き飛ばされてしまう。

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