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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”十章” 花とリボン 光の魔物召喚
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悲しみの果て

「なんで、なんでですか? 神は神相手でなければいけないのですか? 私では不釣り合いと、そうおっしゃるんですかっ!? ううぅ」

 泣きそうになりながら、梨乃は攻撃を続けていた。必死に、必死に攻撃し続けていた。

「諦めて」

 その姿を見ていられなかった。だから私は、見ないよう俯きながらそう言った。素直に諦めて欲しい、二人とも。だって、誰のことも傷付けたくないからっ。

「もうこれ以上傷付けたくないのが分からない? ねえ、分からないの? 諦めて」

 二人に向けてその言葉を発した。だけど二人とも聞くつもりはないようだった。

「分かりました。羅刹さんを私に下さるのなら、他は全て諦めてもいいでしょう」

 何よ、気持ち悪い。私が上げると言ったところで、そんなのどうしようもないでしょう? 嫌々やってきた羅刹を貰い、何が嬉しいというのよ。

「それも諦めて。他の人と幸せになることを薦めるわ」

 そっちの方が、絶対に梨乃も……夜叉姫も幸せになれるわ。無理に羅刹に拘る必要はないと思うの。

「どうしてそうやって、私から全てを奪おうとするのですか? そんなの酷いではありませんか。そんなの、あんまりではありませんか」

 別に、全てを奪おうと言うつもりはないわ。ただ、全てにおいて私の方が優れていたと言うだけ。そう、優れているのだから仕方ない。

「神様は不平等です」

 んなこと言われても困るわ。だって私が決めた訳じゃないもん。でも、これだけは言えるわよ。

「神のせいではない。貴方が悪いのよ? そもそも、神と接している時点で貴方は間違っている。全く違うの存在なの、それを考えて」

 悲しんでいるからって、私は無駄に励ましたりはしない。ただ、私は欲しいものを手に入れたいだけなの。他人なんて関係ないわ。

「なら、やっぱり間違っているのはそっちです! 普通だったら、神がやってくることが可笑しいんじゃありませんか? 神が来なければ、私たちが会うことなどないではありませんか」

 それもそうかもしれないわね。でもそれは仕方ないわ。呼ばれたから、来ちゃったんだもの。

「ごちゃごちゃ五月蝿いな」「ぎゃーぎゃー五月蝿いですね」

 凛子と羅刹が同時にそう言った。その二人の冷たい言葉に、梨乃は必死に涙を堪えている状態だった。可哀想に、そうは思うけど助けようなんて思わない。

「どうして私ばかり、どうして私ばっかり……。こんなの不平等です」

 何も不平等ではないわ。訳の分からないことを言って、死にたいのかしら。むしろ殺したいわ。

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