嫉妬に狂い
「短い一生とは失礼だな。ストーンの力はお前が一番分かっている筈だっ!」
ええ、ストーンの力なら十分承知している。使い方によっては、永遠に生き続けることだって可能でしょう。全てを壊してしまうことも可能だと思うわ。
「そしてほぼすべてのストーンを回収し終えている。最後のストーンをお前らが持っているのは分かっているんだ。それを奪い取れば終了、私の世界」
まだ神にならぬ存在が、元々神である私たちに勝利できるとでも? それも二対一、調子に乗るのもほどほどにして欲しいわ。
「二対一ではありませんよ? 二対二です」
どこからか声が聞えてきた。幼い子供のような声であった。
「どこを見ているのですか? もしかして神はその程度なのでしょうか」
気配も感じなかった。いきなり攻撃が飛んできて、悠馬は慌てて避ける。
「梨乃、お前を呼んでなどいない」
そう言う凜子の低い声で、私たちに飛んでいた攻撃がやむ。そして凜子の隣に梨乃が現れたわ。
「貴方が夜叉姫様であることは分かっているのです。しかし、貴女の目的が分かりません。姫神様を発見することは来ました、そして本来のお姿も取り戻して貰っています。それなのに、どうしてまだ貴方は凜子さんのところに?」
そう言えば、梨乃は夜叉姫だったのよね。でも姿を見る限り、夜叉姫の姿はしていない。だから梨乃と言わせて貰うわ。
「私はずっと聞いていたんです。貴方が姫神様に告白するところもっ! 約束したのに、酷いではありませんか……」
約束って、何を言っているのかしら。夜叉姫と羅刹で何かの約束を、私に心当たりはないから私がいないところでかしら。
「私たちは友達だって、言ったじゃないですかっ! 私の気持ちだって知っている筈なのに、二人でいちゃいちゃいちゃいちゃ。見せつけやがってムカつくんですよ! 約束したのに、約束したのに……っ!」
冷静な微笑みを乱して、梨乃はそう叫んでいた。それに羅刹は冷たい眼差しを向けている。
「ええ、友達だと言いました。僕と貴方は友達ですよ? いつまでも」
その冷たい言い方に、梨乃は完全に取り乱す。攻撃し掛けようとしていたが、正面から戦って羅刹に攻撃が当たる筈がない。ただでさえ夜叉姫ではなく梨乃としての姿でいる。その時点で魔法の威力は下がっているのだ。
それに、羅刹は神の中でも最強級の鬼神である。正面から殴りかかっても、全て弾かれて終わってしまう。それは分かっているだろうに、何度も何度も攻撃し続けていた。




