表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”九章” 陽香の力
78/150

優しさ

「え? 何をしたつもりもありませんけど……。どうかなさったんですか?」

 悠馬じゃないの? じゃあ、誰が凜子を吹き飛ばしたのよ。それか、いつも通り悠馬が嘘を吐いているだけかしら。だって、明らかに悠馬の様子が可笑しかったもの。ただ、悠馬は凜子に触れていないのよね。そして魔法を使ってもいなかった。だったら、どうやって攻撃をしたのかしら。それが分からないわ。

「いいや、どうもしない。ちょっと風があったから、誰がやったのかと思っただけ。疑ってすまなかった。きっとただの風だよな」

 そんな筈がないじゃない。吹き飛ばされる程の強風、いきなり吹く筈ないもの。それに、空中にいたならともかく地上にいるのよ? 風では飛ばされないわ。

「はい、きっとそうですよ。もう、失礼な方ですね。しかし勘違いしたのでしょうし、咎めたりはしませんよ。それで、ご用は何ですか? 着いて行くつもりはありませんが」

 悠馬、どうしたのかしらね。嘘? 演技? それとも、何かが狂ってしまったの? 頑張り過ぎて故障した、みたいな感じよ。どうなのかしら。

「お許し頂きありがとう。優しいお前だから、着いてきたりはしてくれないのか? 断ったりして、仲間を無駄に傷付けるなんて。そんな酷いことしそうな奴じゃないのになぁ」

 仲間を傷付ける? その言葉とほぼ同時に、私は捕まってしまっていたわ。凜子は私を右手で抱き、左手は炎で遊んでいる。私を焼き殺すつもりかしら。ふん、上等じゃないの。炎だったら自信があるわ。

「陽香さんっ! 早く陽香さんを放して下さい」

 悠馬は私以上に余裕を感じていると思った。だけど、予想以上に悠馬は乱れていたのだ。らしくないわ。でも、演技って風にも見えないわ。

「放した方が身の為だと思います」

 凜子に私を放すつもりがないので、悠馬は言い方を替えて再び頼んだ。でも、そんな挑発するようなこと言わない方がいいんじゃないかしら。

「僕が鬼神に戻る前に、お願いします……」

 鬼神に戻ることが出来るの? 言い方を聞く限り、意図的にじゃないというようにも取れるわ。どうなのかしら。

「はっはっは、そんな脅しは無駄だ。それが不可能であることは分かっている」

 笑う凜子。その様子は、本当に勝利を信じているかのようだった。

「……姫神様、うぅ。僕が、守るんですっ」

 悠馬の後ろに、大きな影が見えた。そしてその影は私に襲い掛かってくる。そして気が付くと、私は凜子でなく悠馬に抱かれていた。

「大丈夫ですか? 怖くありませんでしたか? 怪我とかしていませんか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ