表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”九章” 陽香の力
77/150

あと少しだけ……

 エンドレスに言い合いを続けていると思ったが、スターちゃんがそう言ってくれた。

「妖精が逃がされた、これが気に入らないのだ。犯人は誰だか分かっていないらしい。果たして誰がやったんだろうな……。皆大騒ぎさ」

 犯人は分かっていない? 分かっていないのなら、この場にいる筈がないわ。わざわざ私達にそう言っている時点で、分かっているのでしょう。だって妖精だって、この場にいるんですもの。

 こんなこと言うんだから、何か狙いがあるのよね。何かしら、何がしたいのかしら。こんなことをして、何の意味があるのかしら。分からないわ。

「はぁい、僕が逃がしましたぁ」

 私が考えていると、悠馬がそんなことを言い出した。ニッコニコ笑っていて、何だか楽しそうというよりも嬉しそうだわ。いつもは微笑みだけど、今は笑っているって感じだし。どうかしたのかしら。

「本当なのか? なら来い」

 何を言っているのかしら。真偽の判断をする必要ある? どうせ自分で犯人と名乗ってるんだし、それなら罰を与えても大丈夫じゃない。嘘だろうと関係ないわ。

「面白いことを仰るんですね。行く訳ないじゃありませんか、あははー」

 どうしたんだろう、このハイテンション。最早悠馬の様子は、故障中って言うようなレベルだった。わざと演じられたハイテンション、なのかしらね……。

「じゃあ連れて行く。妖精共と一緒に」

 そんなこと言われてもね? 連れて行くで連れて行かれたりなんかしないわ。

「嫌だなぁ、連れて行くだなんて言われても困りますよ。僕にだって心の準備と言う物がありまして」

 もじもじしているように指を動かしたりして、凜子をチラチラ見る悠馬。どうしたのかしら。悠馬に何があったの? 誰か教えて欲しいものだわ。

「まだ、まだちょっと待って下さい。これだけの人の前で、恥ずかしいですが」

 どうしたのかしら、明らかに様子が可笑しいわ。何が恥ずかしいのよ、全然意味が分からないわ。

「何を言ってやがる。ただ着いてくればいいんだよ。話をしてやる」

 話? 説教のようなものかしら。でもそんなことしそうには見えないわよね。

「きゃっ、お話? どんなお話なんでしょう。でもなぁ、聞きたくないかも」

 そんなことを言って悠馬は右手を前に出す。すると凜子は吹き飛ばされてしまったのだ。何をしたのかは分からない。ただ悠馬が手を前に出しただけで、触れてもいないのに吹き飛ばされてしまったのよ。

「何しやがる」

 しかしそんなの何ともないらしく、普通に凜子は戻って来て文句を言う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ