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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”九章” 陽香の力
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冗談はやめて

「そんじゃ、このまままおーだって倒せちゃうんじゃない? えっへん」

 胸を張るスターちゃんは、残念ながら優秀そうには見えなかった。が、力は確かなのだろう。そう言えば攫われたときだって、悠馬のことを驚かせたもんね。

「そんなことないなのです。魔王はとっても強いなのです。勝てないなのです。絶対に、あんなの倒せないなのです」

 下からそんな声が聞こえて来たので、不思議に思って私達はその場所まで降り立った。そして私と悠馬は、酷く驚愕したのであった。

 そこにいたのは、大体十歳くらいだと思われる少女だった。緑色の髪を腰ほどまで伸ばし、恐怖に怯えたような表情を浮かべている。

「まどか、まどかなの? ねえ、まどかなのよね」

 それは、ここにいる筈のない存在。私が殺してしまった筈の少女だったのだ。

「はいなのです。陽香お姉ちゃん、どうしたなのです? まどかはどう見てもまどかだと思うなのです」

 ええ、どっからどう見てもまどかそのものだわ。でもどうして? まどかは生きていたとでも言うの? まさか、あれだけの力で殴ったってのに。

「ね、陽香お姉ちゃん」

 しかしそれは、やっぱりまどかではなかったらしい。まどかの姿はどんどん変化していき、凜子が現れたのだった。つまり、凜子がまどかに変化していただけってこと? まあ、そりゃそうよね。騙され掛けた私が可笑しかったわ。

「はっはっは、お前らが私を倒せる? 冗談はよせ」

 しかしまあ、この人は暇なのかしら。話をしたりすると、結構そのタイミング出現するわよね。もしかして見張ってたり? そこまでの暇人じゃないと思うけど。

「じょーだん? 何言ってるのさ。じょーだんはきみの顔だけだよ☆」

 ニッと笑いながら、何気に酷いことを言うスターちゃん。でも魔王はそこまでの短気ではないので、それだけで怒ったりはしない。だってそんな短気な奴なら、簡単に挑発出来てそのまま簡単に嵌められちゃうじゃないの。

「お前の貧弱さも冗談レベルだろ? 全くもう」

 でも言い返してる時点で、あまり大人ではないのかも。この人のことだから、笑って終わりにするもんだと思ったわ。

「あ~ら、じょーだんレベルはそっちでしょ。ちょーしにのらないで、人間さん」

 二人でそんな言い合いを繰り広げている。もしかしてこの人達、実は仲がよかったりとかするのかしら。だって言い合いが、なんだか喧嘩するほど仲が良い的なレベルなんだもの。

「で、よーは何? あたし、そんな暇じゃないんだけど」

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