戦いの準備
「神はそちらですこと? ほう、そうゆう訳ですのね」
どうゆう訳なのよ。全然分からないわ。結論的に、私は神ってことでいいのよね。
「神がお二人もいらっしゃるから、そんな易々と登ってしまわれたのですね。人間では不可能、そう思っていましたわ。なるほど、人間はいないと」
レジェンド様は私の元まで飛んできた。そりゃまあ、あんなん人間じゃ登れんわな。だって飛べないんでしょ? 絶対途中で死ぬからそれ。
「いいえ、僕は神などでは御座いません。今は、ね」
今はってことは、神ではないって訳ではないのね。でもまあ、今神でないのなら神ではないんだわ。
「神の姿は捨てて来てしまいました。まさか、こんなことになっているとは思わなかったのです。魔力を下げて人間となってしまったこと、後悔していますよ」
何の話をしているのかしら。これだから、悠馬の話は理解出来なくて困るんだわ。
「戻ることは出来るんですの? 鬼神であるあなたでしたら、魔王なんかに負けることはないでしょう。敗北なんて有り得ないでしょう」
確かに鬼神って強そうだけど、そんなに強いのね。だったら悠馬は何で……。
「分かりません。しかし女神が返って来れば、間違いなく僕は鬼神であるでしょう」
意味分かんないっつの。でもまあ、悠馬が元の力を取り戻せば勝てるのよね。
「女神? そんな戦えそうなやつどうでもよくってよ」
いやまあ確かに、鬼神に比べて女神ってのは戦わなそうよね。でもなんか、力は持ってそうな気がするわ。
「僕は女神を追って人間界に来たのです。人間の姿にまでなって」
だから何? てか人間界に来るのに、人間でならないといけない訳? 鬼神のまま来ればいいじゃない。そっちの方が戦えるんだし。
「しかしご安心下さい。僕が人間の姿であり、このような弱い体でも勝算はあります。今すぐではきついかもしれませんけどね」
へえ、多分凄いのね。魔力がほとんどなくたって、魔王に勝てるってのが鬼神の力なのね。
「それは、どれだけの間あたくしにここを離れさせるおつもりでして? めんどうですわね」
欠伸をして歩いて行くレジェンド様。あら、ヤル気満々じゃないの。
「行きましょう。別れた部隊を見つけないといけませんから」
先に行っている筈なのに、全く案内係は何しているのかしら。
「はあ。って、何してるんすか? 扉はどうしたんすよ」
今更到着してくれたみたいね。何だ、案内は出来ていたのか。ただ、妖精にはやはり無理だったらしいわね。辿り着いただけ凄いと言えるかしら。




