神の特権
でも悠馬はさすがの悠馬だった。
「そうでしたかしら、ごめんあそばせ。で、ご用は何ですこと? 早く伝えて下さいまし」
レジェンド様とは言えこの程度か。力を持っているだけで、強いかどうかは怪しいところだわ。様子を見る限り、お嬢様でないのも確かだと思うし。
「力を貸してほしいのです。魔物たちが暴れているのですが、僕ら人間では何も出来ません。妖精たちに集まって貰いましたが、やはり妖精王がいなければ」
熱弁する悠馬。そしてレジェンド様はそれを怠そうに眺めている。何よ、偉そうにしやがって。本当に偉いのかもしれないけど、物凄く腹立たしいわ。
「あたくしには関係なくってよ」
それはそうかもしれないけど……。そんなのあんまりじゃないかしら? 助けてって言ってるんだから、助けてくれたっていいじゃない。
「いいえ、そんなこともなさそうですよ。魔界の扉が開いてしまっています。魔界の封印が解けてしまったのですよ? それがどうゆうことか分からないのですか」
驚きの表情を浮かべ、急に動揺するレジェンド様。この様子だと、以前に魔界の扉が開いたのを経験したことあるということかしら。でもレジェンド様がこれだけ動揺するんじゃ、魔界ってのは本当にヤバいタイプなのね。
「ほんと? それは困る」
お嬢様ぶるのも忘れて、レジェンド様は慌てて立ち上がった。
「落ち着いて下さい。共に魔王の退治へと向かいましょう」
悠馬の声に、レジェンド様も落ち着きを取り戻したようで座り直した。
「アイテムは揃えて参りました。魔力が足りない、ただそれだけなのです。レジェンド様、貴方が協力して下されば問題ないでしょう。さあ、共に来て下さい」
魔王ってのは怪物だけど、倒せないことはないってことね。つまりレジェンド様の魔力があれば、悠馬は戦えるってことなのよね? 死なせたり死んだりしないのよね。
「了承致しましたわ。ただ、そのアイテムというのを確認してからに」
分かってる。とでも言うように、レジェンド様の言葉の途中で悠馬はステッキを二本出現させた。花のとリボンの、魔法少女のようなステッキだ。
「本物ですこと? やはりあなたは神なのですね」
神って言うより、持ち主は魔法少女っぽいけどね。だってさ、絶対鬼神なんてごつそうだもん。こんなに武器にしてたら皆ビックリよ? ドン引きよ。
「いえいえ、拾っただけです。しかし、偶々これを扱える者が近くにおりました。それが彼女になります」
私? もう、いきなり手を向けるから驚いてしまったじゃない。




