霊界の生物
「ほら、早く行きましょう」
私はまどかを立たせて、ペースを合わせながらゆっくり歩きだした。
どうして私が…?どうして私がこんなことをしているのだろう。私はこんなところで、こんなことをしている場合では無い筈なのに。まあ仕方ないわ、取り敢えずこの子を街まで送り届けましょう。
「分かったなのです。早く行こうなのです。早く行かないと、次の街もなくなっちゃうなのです…」
まどかは悲しそうに笑って、私の手を掴んだ。そして少し早歩きになって行く。まどかが早歩きをするので、私はゆっくりではなく普通に歩き始めた。まどかは歩幅が小さいから、早歩きでも私の徒歩とスピードが変わらないのね。
「ねえ陽香お姉ちゃん、あの虫さんは何だったなのです?」
まどかは沢山のお金が入った巾着を抱えながらも、私に一生懸命着いて来る。
「さあ、分からないわ。よく分からないのだけど、この世界のものでないのは確かね」
霊界から迷い込んだの?それとも霊界の誰かが、連れてやって来たの?
「この世界のものじゃないなのです?どうゆうことなのです?」
まあこの世界とか言ったって、分かる筈がないわよね…。
「いや、分からなくてもいいのよ。気にしないで頂戴」
そんなことよりも、本当にこっちに街があるの?地図も何もなく、ただ歩いているのだけれど…。まあ、どこかに街はあると思うしいいかしら。
「そうなのです?じゃあ、気にしないようにするなのです」
まどかは素直に(本当かは分からない)頷いて笑い、私の隣をちょこちょこ着いて来る。