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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”八章” 光の魔物と闇の魔物
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人間の心

 魔界を許さないってことは、魔物を許さないってことよね。魔物を絶滅へと追い込むってこと? それはいくらなんでもえげつないかしら。

「レジェンド様の元へ向かった部隊との合流。ここにいても仕方ありません」

 落ち着いた低い声で、ブックちゃんはそう言ったわ。でもその声は震えていた。俯いていて顔は見えないが、泣いているんだと思う。

「そうですね、急ぎましょう。失敗に終わらせない為に」

 折角二手に分かれたのに、そのせいで人数不足両方失敗なんて避けたいわ。急いでレジェンド様のところへ向かって、合流を図るべきよね。ブックちゃんの判断は正しいと思う。

「全速力で行くわよ」

 頷き合い、私達は全力で飛んだ。先頭を悠馬が、そしてその後ろに私達が続く感じである。だってレジェンド様がいる場所知らないんだもん。着いて行くことしかできないわ。でも、力を緩める必要なんてないわね。だって悠馬が私の限界のスピードに合わせてくれてるだろうから。

「多分ここだと思います。さあ、急いで着いて来て下さい」

 辿り着いたらしいが、誰にも会うことはなかった。まああっちも全速力で行ってくれただろうから、追いつく訳なんかないわよね。

「恐ろしいですが、急がないといけませんよね」

 山を登るのは面倒なので、山の上まで飛んで行った。しかし途中で、上へ上がれなくなってしまう。

「これ以上は無理らしいですね。仕方がありません。道には障害が多いでしょうが、走って行くことにしましょう」

 悠馬の指示を受けて、私達は道へ着地した。妖精すら飛べないらしく、小さな体で走るのは私や悠馬より大変だと思う。

「僕に着いて来て下さいね? 行ったことありますので、変わってなければ案内できます」

 私は必死に悠馬の後を追った。でも、飛べないってこんなにも不便だったのね。大きな岩も懸命に登り、悠馬の後をどんどん追っていく。所々妖精には登れないだろうとこもあるので、私が手を差し出して登らせてあげたりもする。でもだったら、妖精たちはどうやって進んだんだろう。もしかして、どっかで迷っちゃったりしてるのかな? あぁあ、急に心配になってきたわ。

「この先です。もう少しですので、何とか頑張って下さい」

 どれくらい進み続けたか、体力も限界に近付いていた頃悠馬はそう言ってくれた。でも、悠馬にも優しいところがあるのね。自分も辛いだろうに、励ましの言葉をずっと掛け続けてくれたんだから。

「レジェンド様、失礼致しますね」

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